
霧島さん
第6章 霧島さんと先生
その唇はすぐに離れてしまったけれど、愛おしそうにおでこにキスを落とされて、妙にむず痒い。
以前、この男に本気で愛されたらどうなるのかなんて想像していたけれど…
「ハナ」
「ん、」
掠れた声で名前を呼ばれ、色んなところにキスされて、
私の体じゃ収まりきらないくらい好きを注がれて、はち切れそうだ。
「ぁ…」
「逃げないで」
「ッ」
する、と服の裾から滑り込んできた志月さんの手に思わずたじろくと、唇に噛みつかれて強く引き寄せられる。
ちゅ、ちゅる、
「ん、ふ…、」
久し振りに感じる彼の熱。
気持ちよくて、思わず自分から彼の舌に吸い付く。
「ふ、ふっハナ…可愛い」
そんな私に愛おしそうに笑った彼が、負けじと深く唇を食んで、
ちゅっちゅっと再び顔中にキスを落としていく。
くすぐったいけれど、こうやって小鳥のようなキスを落とされるのは好きだ。
「ねぇ、知ってる?俺がこうやってハナを愛撫してると、耳の先が真っ赤になってるの」
「へっ?!」
「だから、堪らず耳噛んじゃうんだよね。
今もほら…真っ赤」
「ッ」
はむっと私の耳を口に含んだ彼が、水音をたてながら吸い付く。そして、そこにふーっと息を吹きかけられて、ぞくりとしたものが背中を駆け上った。
すでに息の上がった私の前髪を長い指でといた彼が、囁くように言葉を紡ぐ。
「ハナは呼んでくれないの?」
「んっな、何を、」
「俺の名前」
「ひゃっぅ…、耳元…だめ、」
耳の裏に唇を埋められ、熱い舌が這う。
この男は呼んで欲しいなんていいつつ、簡単に呼ばせてくれないんだ。
