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最後の恋

第4章 おでかけ


示し合わせて有給休暇をとり、彼と金曜の遊園地に行った。

平日とはいえ、金曜だからか人出は多かった。

定番のジェットコースターは久しぶりだったせいか意外と怖く、安全バーにかけた彼の手に自分の手を重ねると、不安を見透かしたように、彼は苦笑して頭を撫でてくれた。

3D映像シアターで3D眼鏡をかけると、妙に似合っており、ポーズをとって見せる彼は、年下の私が言うのもおかしいが、とても可愛らしかった。

お化け屋敷だけはパスしたかったが、彼がどうしてもと言うので、どうしようもなくなったら引きずって連れてってくださいね、と頼むと、OKと指を立てて見せてくれた。

引きずる代わりに、私の肩をしっかりと抱き寄せ、耳と目を塞ぐ私を出口まで誘導してくれた。

日が落ちて、灯り出すイルミネーションに見とれていると、彼は後ろから私を抱きしめて、このまま時間が止まればいいのに、と呟いた。

彼は期限付きで地方支社から赴任してきており、遊園地は彼がこちらにいる間に行きたい所の一つであった。

本当はその他の願いも、何もかも叶えてあげたかったが、結局それは無理だった。

入場前、チケットカウンターに並んでいると、彼が私の腰に腕を回して抱き寄せた。

今日はこうしていていい?と尋ねる彼に、私は小さくうなずいて、彼の肩に頭を寄せた。

今日だけは普通の恋人のように、過ごしたい。

彼の願いを全て叶えることはできなかったけれど、

その願いだけでも叶えてあげられて本当に良かった。

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