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最後の恋

第2章 たべもの


彼も私も甘い飲み物が好きだった。

ケーキを食べるときもアイスを食べるときも、一緒に飲むコーヒーには遠慮なく砂糖を入れていた。

友人にも甘い物好きは多かったが、甘い食べ物を食べるときには、飲み物は甘くない方がいいというのが多数派意見だったため、彼との共通点は嬉しかった。

彼はペットボトルの飲み物も、甘いものが好きだった。ミルクティーが一番お気に入りだったようで、よくごくごく飲んでいた。

頭を使うと糖分が必要なんだよね、とできるビジネスマンらしい顔を作っておきながら、可愛らしいミルクティーをおいしそうに飲む30歳だった。

彼はホテルに入る前、いつも500mlの飲み物を2本買っていた。夜から朝までの半日しかいないのに、足りなくなるのだ。

甘い飲み物だから、喉が乾くんじゃないですか、と言っても、そうだね、と笑ってミルクティーをかごに入れていた。

ベッドで気だるい体を起こしながら、ビジネスマンと少し違う表情で、彼はミルクティーを飲んでいた。

飲む?と聞かれて頷くと、ベタではあるが彼は一口自分の口に含み、口づけて私に与えてくれた。

これまた陳腐な表現だが、それは今まで口にした何よりも、甘美に舌をとろけさせたものだった。

そんな甘い飲み物で、喉を潤そうとするもかえって渇くばかりで、彼も私もわかっていながら、もっともっとと求めたくなるあの日々は、毎日ミルクティーを飲んでいたようなものだった。

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