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教団 アノニマス

第1章 罪と罰

[死んだ犬が生き返った❗これは一体どういう事なんだ!]

教祖は立ったまま、両手の掌をじっと見詰めていた。

するとまた、教祖の耳に金属音のような高い音が聞こえてきたのだ。

はっと我に返り、音のする方を見ると。

この間と同じ、少女がたっている。愛留だった。

[おめでとう、オジサンは神様から力を与えられ何でもできるよ。思い通りになるよ]

愛留の目は、純粋無垢で罪穢れのない瞳をしている。

教祖には、その様に見て取れた。

もう一度、教祖が掌を見ると。

[私は、神から力を授かったのか----]

見上げると、愛留の姿は何処にも無かった。

愛留は突然現れ、突然消えて行く。夢なのか現実なのか分からない、異次元世界にでも入り込んだような。

だが、教祖には驚きは無かった。

[最早私には神の意識、宇宙意識が身体の中を流れている]

自らの、意識改革に成功したのだ。

その時だった、天を仰いだ教祖は不思議な声を聞いた。

❨我が、大いなる息子イエス-キリストよ。我は神ヤハーベ、ユダヤの民を、イスラエルに導いた神である。

貴方の伴侶マグダラのマリアと共に、エルサレムに向かいなさい。

そして、ゴルゴダの丘で祈りなさい。善き伴侶が、貴方が来るのを待っている。

我は、神ヤハーベ----❩

神なる声が、天から告げられた。

[先程の少女が、マグダラのマリアの生まれ変わり、私の伴侶。やはりキリストは、結婚をしていたのか。

キリストが十字架につけられた時、他の罪人と共に処刑された]

そう教祖が考えた時だった。目の前にスクリーンが現れたのだ。まるで、映画のようだ。

キリストが昇天した時点で、マグダラのマリアはキリストの子を妊娠していたのだ。

イエスの死後、キリスト教徒に対する弾圧は日に日に激しさを増していた。

使徒達の中にも、次々と殉教者が出た。

身の危険を感じたマグダラのマリアは、いち速くエジプトに逃亡したのである。

エジプトでは、イスラエルの王の伴侶として大歓迎をされた。

そのエジプトの地で、キリストの子を出産した後に南フランスに安住の地を求めたのだ。

マリアは、その地に没した。

中世の時代、テンプル騎士団によってマグダラのマリアの墓の上に建立されたのが、ノートルダム大聖堂であった。

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