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教団 アノニマス

第1章 罪と罰

あらゆる苦悩から解放された教祖は、非常に高い金属音が聞こえてくるのがわかった。

❨チリン、チリン❩

決して風鈴ではない、この世とは思えない心地の良い音だ。

音のする方を見ると、そこに1人の少女が立っている。

少女は全体的に白い光りに包まれ、何かを喋っている。

[オジサン、神の力が通じたよ。神様に選ばれたのよ❗]

教祖の耳に、はっきりと聞こえたのだ。


そして少女は、光りと共に消え去った。

この少女こそ、盛愛留だったのだ。

教祖に絶望から希望へと、心の底からの喜びが芽生えた。

自分に何が起きたのかは分からない、ただ身体の中を神霊が通り抜けたような

清々しさが残った。

[私は、神によって守られている]

そう思うだけで、大いなる喜びに包まれた。

そられからである、不思議な事象が次々と起こり始めたのだ。

ある日、公園で小学校低学年の少年が、小さな段ボール箱を両手に持って

とぼとぼと歩いて来た。

やおら箱を地面に下ろし、蓋を開けじっと見ている。

教祖が子供に、話し掛けた。

[どうしたんだい、この子犬は?]

少年は悲しげに、教祖を見た。

箱の中を見ると、産まれたばかりであろう、体を横に寝かせ目が閉じたままの子犬だ。

呼吸をしている様子がない、既に死んでいる。

[この公園に棄てられていて、もうすぐ死にそうなんだ❗]

[でも、この犬既に死んでるよ]

[おじちゃん、この犬助けてよ!]

少年は、泣き声で訴えてくる。

教祖もどうしたら良いのか分からず、とりあえず腹の部分を撫でてみたが、子犬は思った

とおり冷たくなっている。

何処かの川に流した方が---。

その時だった、突然体がピクピクッと動いたのだ。

次に、尻尾が僅かに立った。

[この子犬、まだ死んでないぞ!]

教祖が驚きの余り、大声で叫んだ。

今度は背の部分を右手で翳して見ると、瞳がパチリと開いたのだ。

立ち上がって尻尾を大きく振り、キャンキャンと鳴き出した。

子供も驚愕したと同時に、大喜びし出した。

[おじちゃん、ありがとう!]

子供は生き返った子犬を胸に抱きかかえ、喜び勇んで家に帰って行った。

だが、一番驚いたのは教祖自身であった。







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