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教団 アノニマス

第1章 罪と罰

[家出をしたから、出会い系喫茶でバイトをしているみたい]

[出会い系喫茶?]

[客とレストランで食事をしたり、ホテルに行ったり]

[一緒に、ホテルに行って何をするの?]

[男と女、やる事は1つですよ。客と寝るの]

ルミカは、平然と答えた。

[まだ未成年で、そんな事して大丈夫なの?]

佐村が、心配そうに訊くと。

[ホテルに行けば高い料金を貰えるの。客によっては、一回十万円くれる客もいるから、稼ぐ娘は月に百万円になるわ。

特に中学生は、それ以上よ]

[中学生もいるの?]

驚いた佐村が、訊き返した。

[客にねだれば、高級レストランで美味しい料理を食べさせてくれて、その上お金も----。

とにかく、最高なバイトなんですよ!]

[君達は、娼婦なのかい?]

[娼婦----。何ですかそれは?]

今度は、ルミカが逆に訊き返した。

[いや、いいんだ。こっちの話しなんだ]

[あ、娼婦というのは売春婦の事でしょ。愛留も私も若いから、いくらでも男が寄って来るのよ。昨日も此処らへんを歩いていたら

学校の先生が、声を掛けてきて財布の中身を見せてくれたの。二百万円位あったんだけど、急用があったから断ったの。

でも、逃した魚は大きいって愛留と話していたのよ。ウフフ]

何も、悪びれる様子はない。

[先生が、誘ってくるの?]

ルミカが大きく頷くと、佐村は苦笑するしかなかった。

そこにラムが、二つのコーヒーカップをトレイに乗せてやってきた。

[お待たせしました、ご主人様]

テーブルの上に置くと、再び奥に引き込んだ。

どうやら、メイド喫茶とは名ばかりで普通の喫茶店と変わらないようだ。

しかし、コーヒーの香ばしい匂いが、鼻をつく。

佐村は、そのままブラックで一口啜った。

コーヒーの苦い味の中にも、甘い香りが口の中に広がった。

あの大バッハが、コーヒー好きな余りコーヒーカンタータという曲を作り、❨せめて、一杯のコーヒーを!❩と言ってドイツ中を

回り、コーヒー豆を探したと言う逸話が残っている。

今の日本では、いつでもどこでも一杯のコーヒーが飲める。

佐村が、一番幸福と感じる瞬間である。

1人でニンマリ妄想に耽っていると、ルミカがじっと佐村の顔を覗き込んでいた為、佐村はまた苦笑した。


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