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教団 アノニマス

第1章 罪と罰

その頃、私は義兄の紹介で湯田との婚約を薦められました。

でも既に、湯田は重大な罪を犯していました。

私達は、結婚してこの自宅を建てたのですが長年義兄は、真理麗佳と愛人関係でした]

[由紀子さんは、その事実を知っていたのでしょうか?]

[姉も知っていました。それで、独自に探偵調査をしてもらった所、異常無しとの

結果で安心していましたが]

佐村の眉間に、皴が寄った。

[実は、義兄も姉が依頼した探偵には気付いていて、秘かに探偵にお金を渡し

事実を捏造するように頼んだのです]

[探偵を買収したのですか?しかし、探偵も探偵だ‼事実を捏造するなんて

どういう探偵なんだ]

佐村も、同じ探偵として憤りを感じた。

[義兄が買収した探偵が、真理恵さんなのです]

[そ、そんな事がありますか?信じられない]

驚きの余り、声がひっくり返った。

[偶然とは思いますが、義兄と真理麗佳の浮気調査に妹が担当するとは、姉も思わな

かったでしょう。妹は、調査した事実を揉み消したのです]

少しずつ、佐村にも全容が分かりかけてきた。

[何故、真理麗佳の妹である恵を秘書として迎え入れたのでしょうか?]

法子が、はっきりと。

[きっと恵の方から、義兄に近づき今度は妹が姉に代わる愛人の座を欲しがったのだと

思うのです。義兄は過去に恵が子宮ガンで、子宮を全適していて2度と子供の産めない

身体という事実を知っていたのです]

佐村が胸のあたりで、腕組みをすると。

[なんだか、由紀子さんの気持ちが分かるような気がしますね。

でもそれがどうして、湯田幸吉さんの事件に繋がるのでしょうか?]

[私も湯田と別れてから知ったのですが、義兄の愛人真理麗佳に大金を貢いでいたのです。

それも、湯田の部下が解雇になった直後から、今度は湯田が会社のお金を横領していた

のです]

[真理麗佳は、社長と湯田氏二人から金を受けとっていた?]

[そうなんです、次第に麗佳の生活が派手になって、一時はポルシェを乗り廻すように

なり、恵は姉のそんな姿を指をくわえて見ていたのだと思います。

それで、姉が居なくなったのを見計らい、身体を張って義兄に近づいたのです。

しかし、5年に一度の国税局監査が入った為に、誤魔化しが全て露呈してしてしまい

湯田は、横領罪で逮捕されたのです]

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