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教団 アノニマス

第1章 罪と罰

液晶テレビが明るくなり、辺りを照らした。

真っ先に目に飛び込んできたのは、ニュース番組だ。

その番組に、佐村はくぎ付けになった。

❨今日午後8時半頃、新宿のラブホテル、ジャストフィットで二人の若い男女が血まみれに

なって倒れているのをホテルの従業員が発見しました。

直ちに二人は、病院に運ばれましたが既に死亡していました。死亡した二人は、

アルバイト店員の横井秀人さんと女子高生の山本ルミカさん17歳と判明しました。

警察の調べでは、二人共寝ている間に襲われ、横井さんは頭を鈍器のような物で殴られ

山本さんは、胸を刃物で刺されての失血死と断定しました。

警視庁では、殺人事件とみて犯人の行方を捜しています。

では、次のニュース----❩

佐村に、衝撃が走った。

昼間、メイド喫茶で出会った若者達だった。横井秀人と山本ルミカ----。

初めて二人を見た時、彼らの横に死神が憑いている。佐村はそう感じたのだが、

それは現実のものとなった。

あの時感じた嫌な予感は、虫の知らせと言うべきか。

二人を安全な場所に、匿っていれば----。後悔の念が、脳裏を過った。

そこに法子が、ワインボトルを持って戻って来ると、佐村の異変に気付いた。

[どうかしましたか?]

[メイド喫茶で出会った若者が、新宿のラブホテルで死体となって発見されました。

これから、詳しい事情を調べて来ます]

[ええっ!! ]

(ガチャン!!)

思わず、法子が持っていたワインボトルを床に落としてしまった。

床でボトルが真っ二つに割れ、赤ワインが鮮血のように流れ出した。

[御免なさい!愛留ですか?]

法子が酷く驚いた様子で、弱々しく訊いた。

[違います、殺害されたのは山本ルミカという女子高生です]

それを訊いた法子は、ほっと胸を撫で下ろした。

慌てて硝子の破片を拾い上げ、近くにあったモップで綺麗に拭き上げた。

それを見ていた佐村のスマホに、着信音が鳴り通話ボタンをタップした。

相手は、中川信夫だった。

中川信夫は、佐村の良き協力者で探偵業をサポートしている。

[さっき盛愛留を、新宿駅で見たんだ!直ぐ来てくれないか?]

[今行きます!]

電話を切った佐村は。

[愛留さんが、発見されました。後程、連絡しましす]






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