
教団 アノニマス
第1章 罪と罰
佐村は、盛財閥のロールスロイスで新宿駅前に着き、慌てて車を下りた。
中川信夫を捜す為、アルプス広場に行って見たのだが何処にもいない。
駅の液晶時計を見てみると、午後11時を廻っていた。
その時ふいに、後ろから声を掛けられた。
「佐村、私だ」
振り返ると、そこに中川が立っている。
「盛愛留を、見たのは本当ですか?」
「これを、見てくれ」
中川がショルダーバッグからデジカメを取りだし、カメラの液晶画面を見せると、そこには駅の中を一人で歩く愛留の姿が映っていた。
「その後、彼女が何処に行ったか分かりませんか?」
「それが、この人混みの中で見失ってしまったんだ。面目無い」
「それでは、西口のタクシー乗り場を捜してみます」
佐村が、言うと。
「ワシは、南口のタクシー乗り場を」
「お願いします」
佐村が小走りで、西口のタクシー乗り場に向かった。
乗り場に来ると、既に疎らの客しか居なかった。
暫く付近を見渡したが、何処にもいなさそうだ。
別の場所に移動しようとした所、ふいに見覚えのある顔を目撃したのだ。
余羽美樹とメイドのラムちゃんだ、佐村は驚いた。
「どうして、美樹とラムちゃんが一緒にいるんだ!」
佐村が美樹の所に行こうとすると、美樹の前にタクシーが停まり二人してそそくさと乗りこんだ。
「おーい、美樹!!」
佐村が大声で叫ぶと、美樹は全く気付く事無くタクシーは走り去った。
後に残ったのは、排気ガスの匂いだけだった。
「そう言えば、美樹は宗教団体の講演会があるとは言っていたが、何故ラムちゃんまで……」
首を傾げたその時、佐村のスマホに着信音が鳴ると、相手は盛社長だった。
「佐村君かね?こんな時間に申し訳無い。愛留の母親の真里麗佳が湯田幸吉と一緒に暮らしていると部下から情報が入ったんだがね。
そこで君に、二人が同棲をしているか確かめて欲しいんだ。頼まれてくれんか、君の探偵事務所も経営に困窮しているのではないかな?
君が納得出来る以上の報酬を渡そうじゃないか。すまんが、頼む!」
達三氏の声にしては、弱々しい声だった。
たが何故、盛社長が私の苦境を知っていたのか。実際に何ヶ月も事務所の家賃を滞納している。
美樹やラムの事と言い、何か釈然としない部分が気になった。
「それでは、ギャランティーのほうを」
中川信夫を捜す為、アルプス広場に行って見たのだが何処にもいない。
駅の液晶時計を見てみると、午後11時を廻っていた。
その時ふいに、後ろから声を掛けられた。
「佐村、私だ」
振り返ると、そこに中川が立っている。
「盛愛留を、見たのは本当ですか?」
「これを、見てくれ」
中川がショルダーバッグからデジカメを取りだし、カメラの液晶画面を見せると、そこには駅の中を一人で歩く愛留の姿が映っていた。
「その後、彼女が何処に行ったか分かりませんか?」
「それが、この人混みの中で見失ってしまったんだ。面目無い」
「それでは、西口のタクシー乗り場を捜してみます」
佐村が、言うと。
「ワシは、南口のタクシー乗り場を」
「お願いします」
佐村が小走りで、西口のタクシー乗り場に向かった。
乗り場に来ると、既に疎らの客しか居なかった。
暫く付近を見渡したが、何処にもいなさそうだ。
別の場所に移動しようとした所、ふいに見覚えのある顔を目撃したのだ。
余羽美樹とメイドのラムちゃんだ、佐村は驚いた。
「どうして、美樹とラムちゃんが一緒にいるんだ!」
佐村が美樹の所に行こうとすると、美樹の前にタクシーが停まり二人してそそくさと乗りこんだ。
「おーい、美樹!!」
佐村が大声で叫ぶと、美樹は全く気付く事無くタクシーは走り去った。
後に残ったのは、排気ガスの匂いだけだった。
「そう言えば、美樹は宗教団体の講演会があるとは言っていたが、何故ラムちゃんまで……」
首を傾げたその時、佐村のスマホに着信音が鳴ると、相手は盛社長だった。
「佐村君かね?こんな時間に申し訳無い。愛留の母親の真里麗佳が湯田幸吉と一緒に暮らしていると部下から情報が入ったんだがね。
そこで君に、二人が同棲をしているか確かめて欲しいんだ。頼まれてくれんか、君の探偵事務所も経営に困窮しているのではないかな?
君が納得出来る以上の報酬を渡そうじゃないか。すまんが、頼む!」
達三氏の声にしては、弱々しい声だった。
たが何故、盛社長が私の苦境を知っていたのか。実際に何ヶ月も事務所の家賃を滞納している。
美樹やラムの事と言い、何か釈然としない部分が気になった。
「それでは、ギャランティーのほうを」
