
教団 アノニマス
第1章 罪と罰
世渡り警察署の、取り調べ室に佐村がいた。
取り調べ室は、6畳程の広さがあり薄暗かった。
室内の真ん中に机と椅子が置いてあり、その机を挟んで佐村と士門刑事が座っている。
その横に、もう一人の警官が調書を取っている。
「どうして、湯田さんの自宅前で張っていたのでしょうか?」
「盛不動産の社長から、湯田さんを調査するように依頼されまして」
「湯田さんに、何か?」
「湯田さんと真理麗佳に、同棲疑惑が発覚したからなんです」
士門刑事が、溜め息をついた。
「湯田さんと真理麗佳さんは、どのような関係でしょうか?」
「湯田さんは、過去に横領の罪で逮捕歴があって真理さんに、3億5千万円を
貢いでいました。
すぐバレて、5年以上刑務所に服役したわけなんですが」
「どうして今頃、真理さんが湯田さんの前に?」
「それは、私にも分かりません」
思わず佐村が、俯いた。
そこに一人の警官が入って来て、一枚の書類を士門刑事に渡した。
「湯田さんは、二発の銃弾を受けて絶命しています。
凶器の拳銃は、ロシア製トカレフですね。実弾は45口径。
二人が室内にいた時、拳銃の発砲音を聞かなかったでしょうか?」
「全く、音はしませんでした」
「そうしますと、湯田さんを殺した犯人は、真理さんかそれとも別の人間か?」
士門刑事の眉間に、皺が寄った。
おもむろに、手帳を開くと。
「私共の調べでは、真理麗佳は盛社長の前から姿を消した後、ある医師と出逢って
その医師に貢がせた金を、渡していたらしんです。
その証拠に、突然個人病院を立てています。
ところが、病院を開業して間もなく、失踪している。
恐らく、真理麗佳から貢いで貰った金で、病院を建設したのだと思います」
「それ程の大金であれば、個人病院なら楽々経営出来ます。
その医師の名は?」
「催眠療法専門医の、明石学ですが」
「明石学ーーー」
佐村にも、心あたりがあった。
「明石学とは、現在の教団アノニマスの明石教祖なのです」
そうだとすれば、何故教祖は医師から宗教家になったのか?
「この件は、必ず裏がある筈だ」
佐村が、考えあぐねているうちにいつの間にか机の上に、紙カップコーヒーが置かれてい
た。
取り調べ室は、6畳程の広さがあり薄暗かった。
室内の真ん中に机と椅子が置いてあり、その机を挟んで佐村と士門刑事が座っている。
その横に、もう一人の警官が調書を取っている。
「どうして、湯田さんの自宅前で張っていたのでしょうか?」
「盛不動産の社長から、湯田さんを調査するように依頼されまして」
「湯田さんに、何か?」
「湯田さんと真理麗佳に、同棲疑惑が発覚したからなんです」
士門刑事が、溜め息をついた。
「湯田さんと真理麗佳さんは、どのような関係でしょうか?」
「湯田さんは、過去に横領の罪で逮捕歴があって真理さんに、3億5千万円を
貢いでいました。
すぐバレて、5年以上刑務所に服役したわけなんですが」
「どうして今頃、真理さんが湯田さんの前に?」
「それは、私にも分かりません」
思わず佐村が、俯いた。
そこに一人の警官が入って来て、一枚の書類を士門刑事に渡した。
「湯田さんは、二発の銃弾を受けて絶命しています。
凶器の拳銃は、ロシア製トカレフですね。実弾は45口径。
二人が室内にいた時、拳銃の発砲音を聞かなかったでしょうか?」
「全く、音はしませんでした」
「そうしますと、湯田さんを殺した犯人は、真理さんかそれとも別の人間か?」
士門刑事の眉間に、皺が寄った。
おもむろに、手帳を開くと。
「私共の調べでは、真理麗佳は盛社長の前から姿を消した後、ある医師と出逢って
その医師に貢がせた金を、渡していたらしんです。
その証拠に、突然個人病院を立てています。
ところが、病院を開業して間もなく、失踪している。
恐らく、真理麗佳から貢いで貰った金で、病院を建設したのだと思います」
「それ程の大金であれば、個人病院なら楽々経営出来ます。
その医師の名は?」
「催眠療法専門医の、明石学ですが」
「明石学ーーー」
佐村にも、心あたりがあった。
「明石学とは、現在の教団アノニマスの明石教祖なのです」
そうだとすれば、何故教祖は医師から宗教家になったのか?
「この件は、必ず裏がある筈だ」
佐村が、考えあぐねているうちにいつの間にか机の上に、紙カップコーヒーが置かれてい
た。
