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教団 アノニマス

第1章 罪と罰

「どうぞ、飲んで下さい」

士門刑事が、勧めた。

佐村が、一口啜ると。

「ご協力ありがとうございました、時間を摂らせてしまって。これでお帰り下さい」

刑事は立ち上がり、一礼して部屋から出て行った。

「直ぐ、明石教祖に会うしかない!」

そう呟き、残りのコーヒーを飲み干した。


秋葉原のゴールドホテルでは、大広間で明石教祖による大講演会が開かれようとしていた。

ステージ上には、大きなソファが二つ置かれてあり、最初に幹部リーダーの丸陳流太によって教祖が紹介された。

教祖が現れると、大きな拍手が鳴り響いた。

教祖の後に、盛愛留が続いた。

二人はそれぞれのソファに座ると、流太が教団アノニマスの支部紹介とシステムをクライアントに伝えた。

明石教祖と幹部12人による13人で、インターネット宗教教団アノニマスが運営されている。

信者は全てクライアントと呼ばれ、全員電子書籍の聖書をダウンロードする事によって、購入しなければならない。

全てダウンロードする事により、クライアント登録が成立する。

他にも強制ではないが、寄付金も募集している。

教団には大口スポンサーが何人かいて、その中の一人が盛由紀子であった。

そして、いよいよ教祖による演説だ。

ソファから教祖が立ち上がり、中央にある教壇の前に立つ。

「教団アノニマス、明石教祖による大講演会を始めます!」

大きな声で丸陳流太が叫ぶと、明石教祖が両手を広げた。

それはまるで、不死鳥鳳凰のようであった。

「我々、教団アノニマスのクライアント登録は1万人を超えました。誠にめでたい事です。

この世には様々な苦悩があります、それらクライアントの皆様がたの苦悩をパソコンのように消去する事が出来ます。

決して、暗示や催眠術ではありません。正真正銘の癒やしであります。

教団のあらゆるインターフェイスをご利用くだされば、クライアント様を必ず天国へと導きます。

何故なら私は、イエス-キリストの生まれ変わりだからであります。

オウム真理教の麻原ショウコウも同じ事を言っておりましたが、私は違います。信じて下さい!

その証拠に、皆様をアップデートさせていただきます。

それはどういう事かと言いますと、皆様の迷いや病気をアンインストールいたします。

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