無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

由紀子が、佐村を睨んだ。

「主人の不倫で子供を作り、その女が失踪したからって愛留を無料やり私に押し付けるなん

て！その上今度は、愛人の妹を秘書にしているんですよ。

私を、馬鹿にしているとしか思えないですよ。貴方も、そう思いませんか！


ところで、貴方どなた？」

由紀子が一気に、まくし立てた。

「申し遅れました、興信所の佐村と言います。

お気持ちは察しますが、一度教団から離れた方が良いのでは」

「貴方もしつこいわね、私の気持ちが解るもんですか！」

由紀子がより一層、ヒステリックになって佐村はそれ以上、

何も言えなくなってしまった。

その時、目の前に高級外車ロールスロイスが止まり、後部座席のドアが開いた。

由紀子は、一切佐村を見ずに車に乗り込んでしまった。

「由紀子さん、待って下さい！」

佐村が叫んだのだが、車は急発信してしまい、テールランプを見ながら

その場に立ち尽くす事となった。

そこに、美樹と里沙が来て。

「主任、どうしたんですか？」

「由紀子さんに、話しを訊こうとしたけど、駄目だった」

思わず佐村は、苦笑した。

「今の方が、盛社長の。奥様もクライアントだったんですね」

「美樹、頼みたい事があるんだ。教団アノニマスの事情を詳しく教えてくれないか？」

美樹に、懇願すると。

「それなら、こちらの直巳里沙さんが詳しいですよ」

里沙が急に振られて、驚いた様子だ。

「それでは、私の事務所まで？」

ニッコリ笑って、里沙が頷いた。

佐村が通りかかったタクシーを停め、３人が乗り込み静かに発信した。

その様子を、ホテルの二階にあるレストランから見ている謎の男がいた。

その男は、小型の双眼鏡を持ち佐村達の動きをずっと監視していたのだ。

「彼らが今、ホテルを出ました。どうも横浜の事務所に行くようです」

男が、ニヤリと笑った。