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教団 アノニマス

第1章 罪と罰

その男の声は、先程の声とは違うようだ。

「貴方は、誰ですか?」

毅然として答えたのだが、そのまま電話が切れた。

何だか佐村には、二人の事が気がかりになっていた。

すぐさま、美樹に電話を掛けたが電源がオフになっている。

仕方無くスマホをテーブルの上に置くと、ソファに座った。

すると、猛烈に眠くなリ、瞼が急に重くなって来た。

訳が分からなくなり、ソファの上で熟睡してしまった。

皆気づかなかつたのだが、ケーキの中に少量の睡眠薬が混ぜられていたのだ。

美樹と里沙が乗ったタクシーは、品川駅を目指していたが、美樹が不審に思い。

「運転手さん、この道は逆方向です」

美樹が叫んでも、一切の返事が無い。

そのまま、タクシーは人気の無い工事現場の中へ入っていった。

工事現場の中は真っ暗で、タクシーのライトだけが光輝いていた。

運転手が、後ろを見ると二人がぐっすりと眠っている。

そこに、あとからワンボックスカーが入って来てタクシーの隣にぴたりとつけた。

ワンボックスカーの運転手がタクシーの美樹を抱え込み、車の後部座席に放り込んで

もう一人の運転手も、里沙を美樹の隣に放ったのだ。

スライドドアを急いで閉め、それぞれの車で何事も無かったように現場を出て行った。



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