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教団 アノニマス

第1章 罪と罰

山手線沿いにある、五反田駅前に佐村はいた。

伊佐屋社長からの依頼だったが、社長の話しを思いだしていた。

「真理麗佳には男がいるわ、その男が麗佳を囲って操作しているのよ。

正直に言うと、私その男に命を狙われているの!

それで、その男の正体を調べて欲しいのよ。探偵の貴方なら簡単でしょ!」

「伊佐屋社長の言う通りだとすると、此処らへんを洗うしかないな」

と佐村が思った所、反対側の通りから中川信夫がやって来た。

「佐村!此処にいたか」

「中川さん、どうして此処に?」

中川が、血相を変えて走って来た。

「大変だ!余羽美樹が行方不明なんだ、心あたりはないか?」

「なんですって!それは本当ですか?」

「全く、連絡がとれないんだ」

「昨夜、別れたばかり何ですが」

しまった!佐村は後悔した。あの時、二人だけで帰宅させてはいけなかった。

「すぐ、捜します。それと中川さん、この女性をこの辺で見掛けませんか?」

佐村が、スマホを取り出し、真理麗佳の画像を見せた。中川が、覗き込むと。

「佐村、ワシも今回の件で色々と調べていたんだが

やはり、バックに裏組織があるみたいだ。

教団アノニマスは、ただの宗教団体ではないぞ!

佐村に、会わせたい人がいるんだ。真理麗佳だ。

近くの、喫茶店に待たせてある」

「本当ですか?」

佐村が、ビックリした。

「ワシに、ついてきてくれ」

既に中川が、麗佳を連れて来ていると言う。

二人は歩いて、商店街に向かった。

五反田商店街では、人は疎らで所々店のシャッターが閉まっている。

その中に、小さな喫茶店がある。

店内は狭く、テーブルが四つしか無い。

カウンター席もあるのだが、5人が座れば一杯になる。

佐村と中川、真理麗佳の3人が一番奥の席に座ると、他の客は全く無かった。

昼間なのに店内は薄暗く、有線の音楽が小さな音量で流れている。

音量はフランク永井の君恋しで、佐村が子供の時分に聴いていた記憶があり、

懐かしく思えた。




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