
教団 アノニマス
第1章 罪と罰
「盛社長の前から姿を消した後、ある日湯田さんから一本の電話がありました。
既に湯田さんは奥様との結婚が予定されていましたが、付き合ってくれれば幾らでも金を払うと言って来ました。
最初は断りましたが、明石が湯田との関係を懇願して来たのです。
私は嫌々ながら、湯田さんとの関係を結びました」
「失礼ですが、湯田さんとの肉体関係はありましたか?」
「はい、そのうち彼が私に夢中になり、何でも訊いてくれる様になったのです。
ただ、そのお金が会社から横領した物とは全く知りませんでした」
「湯田さんが横領したお金が3億5千万円、麗佳さんは全額受け取りましたか?」
「いえ、1億5千万円しか、それを明石に全額渡して、独立する為に個人病院を建ててすぐ行方不明になってしまいました」
「明石に、何が?」
「突然、私の実家に明石が来て近くの公園に呼び出されました。
酷く疲れた様子で、母子を殺したと深刻そうに話していました」
「その出来事が、10年前?」
麗佳が黙って、頷いた。
「その後、湯田さんが横領で警察に逮捕された事実を知り、私の実家にも度々刑事が来ました。
それで、明石と一緒に大阪へ逃亡したのです」
麗佳は嗚咽を繰り返しながら、自分を落ち着かせるように、コップの水を一気に飲み干した。
「こちらに戻って来たのは、いつ頃ですか?」
「3年前です、湯田さんの出所の噂を訊いて戻りました」
「明石と共に?」
「いえ、彼は大阪に逃亡して1年程で蒸発してしまいました」
「それは、何故でしょうか?」
「日頃、罪を償いたいと口癖のように言っていました。宗教団体を造りたいとも」
やはり明石も、犯した罪の苦悩に耐えていたのだろう。
「明石との生活は、どうでしたか?」
「明石は余り働かずに、いつもブラブラしていました。私はパートをしていましたが、そんなにお金には困りませんでした」
「それは、何故ですか?」
「東京から、丸陳流太と言う人が大阪まで毎月お金を、持って来てくれていました」
「丸陳流太!」
直巳里沙が、言っていた人物だ。
「明石の父親に、大変世話になったと話していました」
「明石の父親は、どういう人ですか?」
既に湯田さんは奥様との結婚が予定されていましたが、付き合ってくれれば幾らでも金を払うと言って来ました。
最初は断りましたが、明石が湯田との関係を懇願して来たのです。
私は嫌々ながら、湯田さんとの関係を結びました」
「失礼ですが、湯田さんとの肉体関係はありましたか?」
「はい、そのうち彼が私に夢中になり、何でも訊いてくれる様になったのです。
ただ、そのお金が会社から横領した物とは全く知りませんでした」
「湯田さんが横領したお金が3億5千万円、麗佳さんは全額受け取りましたか?」
「いえ、1億5千万円しか、それを明石に全額渡して、独立する為に個人病院を建ててすぐ行方不明になってしまいました」
「明石に、何が?」
「突然、私の実家に明石が来て近くの公園に呼び出されました。
酷く疲れた様子で、母子を殺したと深刻そうに話していました」
「その出来事が、10年前?」
麗佳が黙って、頷いた。
「その後、湯田さんが横領で警察に逮捕された事実を知り、私の実家にも度々刑事が来ました。
それで、明石と一緒に大阪へ逃亡したのです」
麗佳は嗚咽を繰り返しながら、自分を落ち着かせるように、コップの水を一気に飲み干した。
「こちらに戻って来たのは、いつ頃ですか?」
「3年前です、湯田さんの出所の噂を訊いて戻りました」
「明石と共に?」
「いえ、彼は大阪に逃亡して1年程で蒸発してしまいました」
「それは、何故でしょうか?」
「日頃、罪を償いたいと口癖のように言っていました。宗教団体を造りたいとも」
やはり明石も、犯した罪の苦悩に耐えていたのだろう。
「明石との生活は、どうでしたか?」
「明石は余り働かずに、いつもブラブラしていました。私はパートをしていましたが、そんなにお金には困りませんでした」
「それは、何故ですか?」
「東京から、丸陳流太と言う人が大阪まで毎月お金を、持って来てくれていました」
「丸陳流太!」
直巳里沙が、言っていた人物だ。
「明石の父親に、大変世話になったと話していました」
「明石の父親は、どういう人ですか?」
