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教団 アノニマス

第1章 罪と罰

身体は静止し、思わず息を飲み込み両手を上げると、全身から血の気が引いた。

背後の男は宅配の制服を着ており、右手には拳銃を持っている。

(ズキューン!!)

いきなりの発砲がした瞬間、男が後ろを振り向いた隙に思い切り男の腹部を打ち、右足で顔面に

回し蹴りをすると、男は真横に吹っ飛び倒れたまま伸びてしまった。

拳銃を発砲したのは、士門刑事だ。

「佐村さん、大丈夫ですか?」

「ええ、大丈夫です。それよりも法子さんが・・・」

法子の傍に駆け寄り、手足の紐を解き少し身体を揺すると、ゆっくりと瞳が開くと同時に意識が戻ったようだ。

「法子さん、大丈夫ですか?」

法子を抱き寄せると、瞳から大粒の涙が零れて佐村の右腕をしっかりと掴んだ。

法子の唇は震え、顔面は蒼白だった。

「ありがとう、怖かったわ」

次第に、佐村にしがみついたまま大声で泣き出した。

そこに、巡査長が来て。

「ガレージの所で、運転手も倒れているのを発見しました」

「運転手も・・・」

ロールスロイスに佐村を乗せてくれた運転手だったが、頭を鈍器で殴られていて脳挫傷の為、病院で死亡した。

「法子さんが、無事でなによりです」

士門刑事が言うと、佐村が微笑んで。

「ありがとうございます、これも士門刑事のお陰です」

巡査長が男達の掘り出したジュラルミンケースを士門刑事の前に持って来た。

「湯田さんが横領したお金、この金を真理麗佳が捜していたのですね」

人間の業というものは、とても深いものである。

「ざっと、2億円はありそうですね」

士門が言うと、巡査長が回収した。

「何故、湯田さんはこんな所に隠したのでしょう?」

「奥様である法子さんに対しての、せめてもの罪滅ぼしかも知れません・・・」

そこに、また巡査長が来て。

「署から連絡があり、五反田のアパートで一人の女性死体が発見されたそうです。

名前は、真理麗佳と言う名だそうです」

「死因は、なんだ!」

「頭部を撃たれての、即死だそうです」

「え!真理麗佳さんが!!」

佐村に、衝撃が走った。

「これはどういう事なんだ!何故、真理麗佳まで殺されたのか?」


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