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教団 アノニマス

第1章 罪と罰

3人は、壁自体が大きな窓ガラスになっている、ロビーへと出て来た。

そこに一人、明石教祖が立っている。

「副代表、我々の教団を裏切って貰っては困ります」

丸陳流太の、拳銃が光っている。

教祖と愛留が沈黙のまま対峙していると、突然愛留の声が男性の低い声に変化した。

明らかに、湯田とは違っていた。

「明石教祖よ、嫌イエス・キリストよ。俺を覚えているか?2千年前山上でお前を誘惑した悪魔ベルゼブルだ。

あの時は、俺の完敗だった。あの屈辱を忘れる事ができないのだ」

「2千年前の話だ」

教祖が、吐き捨てるように言った。

「黙れ!イエス!!」

悪魔が、イエスを恫喝した。

「ユダヤ教、ファリサイ人とサドカイ人が何故、お前を嫌ったのか

何故、イスカリオテのユダが裏切ったのか分かるまい!フッフッフッ」

ベルゼブルが、ニヤリと笑った。

「最後の晩餐の時、同席していたユダに悪魔が入ったと言ったが、実はユダだけではないのだ。

既にマグダラのマリアにも、悪魔が入っていたのだ。

お前はその事実を知りながら、どうしてマリアを助けそして結婚したのだ」

佐村には見えていた、二人の間に陽炎のような地獄の亡者が浮かんでは消えていた。

「お前が十字架上で処刑された時点で、マグダラのマリアは子供を妊娠していたのだ。

神は人間とは結婚しない、だがお前はサタンと結婚した。

神であるお前が何故、サタンと結婚したのだ。

ファリサイ人もサドカイ人も、そしてユダもその事実を知る事となり、もはやイエスは神では無かったのだ。

イエスにユダヤ人が石を投げつけたのは、サタンの下僕へと成り下がった悪魔だったからだ!

もうお前を、神と信じる者は誰もいない。

その証拠に弟子達も全員逃げ出し、誰一人お前を助けようとはしなかったではないか。

あの時は、爽快だった。

しかし、イエスは3日後に復活した。今度こそ、復活出来ないようにしてやる!!」

「ベルゼブルよ、改心しなさい。あのパウロも改心したではないか」

教祖は慈愛の瞳で、愛留を見詰めている。

「3千年の昔、モーセがイスラエル人をエジプトから脱出させた時、俺は兄のアロンに金の子牛像を作らせたのだ。

ところがモーセは、金の子牛像を破壊し、それを崇めたイスラエル人をことごとく地の底に突き落とし、

3千人も殺したのだ。

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