テキストサイズ

完璧少女の苦悩

第2章 生徒会と、それから、私



「ここはね、こうするのよ……」


教科書を指差しながら説明する。

数学の篠原育人先生は、私たち1-Aの担任でもある。

教え方が上手で、ノリが良くて、色々な人からの信頼も厚くて、凄く良い先生。

私けっこう好きかも。

でも数学と波長の合わない愛利は数学の先生すらも敵らしく、篠原先生のことを本当に敵視してる。

謎だよね。


「ん、んー?」なんて言ってへらっと笑う愛利。
この手の計算問題は何回も説き直せば身につくのに……。


清北的な頭脳の持ち主の愛利は、諦めが早く、教科書をぱたんと閉じた。


「教え方悪くてごめんなさいね」

「いや、今悪かったのは明らかに私……。なんで私こんなにばかなんだろ?」


教科書の代わりに今度はお弁当の包みを広げながら、愛利はガックリうなだれた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ