テキストサイズ

ぜんぶ二人ではじめて

第9章 お泊まり会・1

side 泰宏

あいつら……早く来いよ。

今、市川さんと二人きりになったら、

俺……

なかなか来ないから二階行って連れてこようとしたら、市川さんが、放っておこうよ?って。

俺だって焦るっつーの。

クールな印象、どんどんなくなってるんだろうな。

指先が触れただけなのに……

もう、我慢するの、精一杯だよ。

可愛い……手も、目も、細い腕も。

「近づくと抱きしめるよ?」

一応、警鐘鳴らす。

指先が触れた!

ダメだ。

押し倒してキスしたい!

右手を握った。

細くて白い、手をそっと……

ドキンドキン……ドキンドキン……

指先から伝わりそうなくらい。

右手で、市川さんの頬に触れた!

もう……何も言わずにいられない。

抱き寄せた。

「早く……俺だけのもんにしたい。」

告白みたいなもんだな。

もはや。

告白しよう!

いや……この流れでっていうのは、ただエロいことしたいようにしか思われないかもなぁ……

うーん。

なんて考えてたら、階段を降りる音が聞こえた。

俺たちは急に離れた……

バタンッ!

「遅くなってごめんなさい。」

二人が入ってきた。

俺たちは広いリビングのソファーの端と端に背中同士を向けて座ってた。

「邪魔してゴメンな!」

昌樹が言う。

俺は明らか勃ってる息子のせいで気の利いたことが思い浮かばない。クッションで隠して、落ち着くのを待つ。

二人がダイニングの椅子に座った。

市川さんが、席を立って、キッチンへ。

「朝から騒がせてゴメン。」

昌樹が言う。

「まぁ、もう……いいさ。邪魔して悪かったな。」

と伝えた。

「良いよ。こちらこそゴメンね。」

彩月もそう言って、席を立ち、市川さんの手伝いをする。

「ヤスくん、俺に妬いた?」

小声で聞いてくる。

市川さん、聞こえてなさそう。

「お前ね!そのあと、早く来いよな。」

俺も小声で言う。

「何か出来た?」

「んな簡単じゃねーよ。てか、肝心なところで邪魔したからな。」

「マジか。ごめーん!」

「まぁ、良いよ。」

小声で話してた。

告白すれば良かったなー。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ