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ぜんぶ二人ではじめて

第10章 ドキドキの夏休み

「ちょっと固めに結んどいたよ?」

「うん。ありがとう。あれ?イルカは?」

「さっき彩月が使うって持って行ったけど……あれ?あいつら、もう、浜に上がってる!」

「え?」

市川さんと密着したまま……

絡めた太ももと目の前にある胸……

もう、俺の息子は暴走寸前。

これ以上くっついてるとマズイんだけどなー……

「俺たちも、上がるか?」

「う、うん。」

「おんぶしてくよ?」

「あ。うん。ありがとう。」

体を少し離しておんぶされてたんだけど、海の深さが浅くなってきたときに、キュッと、抱きつくように密着した。

ドキッ!

胸が……当たる……

「ヤスくん……。この辺りなら、私も……足、届くかな?」

「多分、届くよ。降りる?」

「うん。」

ちぇッ!残念だぜ。

「地面に足がつくって、安心するねー。」

なんて言うから面白くて、思わず笑った。

「そうだね。ハハハ」

「もー。みんなは背が高いからそんなこと考えないだろうけど、結構、怖いんだからね。」

そう言って、頬を膨ましながら睨む。

めちゃくちゃ可愛い顔をしてるの、自覚ある?

「ごめんね。確かに考えないなー。でも、怖かったらいつでもまたしがみついて良いよ?!」

「やだよ。もう……恥ずかしいんだから。」

波打ち際まで歩く。

強がる彼女がいじらしい。

そういうの見ると、苛めたくなる。

「(クスッ)もう少しくっついててほしかったのになー。ざーんねん。」

そう言って一歩だけ先に進む。

「じゃぁくっつく!」

そう言って、市川さんが俺の小指をつかんだ。

精一杯の勇気な気がした。

「どうせなら、手、繋ごうよ。」

最大の勇気を出して、そう言った。

「あ……うん。」

「急におとなしくならないでよ。」

「だって……心臓飛び出てきそうなんだもん……」

やべ……可愛い!!!

「飛び出てきたらちゃんと入れてあげるよ。」

そう言って笑ったけど、俺も……

心臓飛び出てきそー……

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