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ぜんぶ二人ではじめて

第10章 ドキドキの夏休み

side 七海

ドキドキが止まらない!

ヤスくんに好きって言いたい。

でも……今は、小指をつかむのが精一杯。

手を握られて、本当にドキドキして……少しうつむいて歩く。

彩月ちゃんと昌樹くんと合流する!

手……繋いだままだよ?

どうしよー……

「昼飯にする?」

ヤスくんが手を繋いだまま、二人に聞いた。

「そーだねー。市川さんに何が良いか聞いた?」

「あぁ。彩月に聞いたか?」

「うん。じゃ、せーので言お?」

「おぅ。」

「せーの!お好み焼き!」

「お好み焼き!」

「どんぴしゃー?すごいねー!」

四人でワイワイ話ながら海の家へ。

まだ……

手、繋いだままだ。

食べるときに離した手が、少し寂しい。

「このあと、キャンプ場行って、荷下ろししてくる?」

「そうだね。多分、夕方からだと混むしね。」

「テント組むの?」

「コテージだから大丈夫だよ。」

そんな話をして、お昼を食べ終え、一度キャンプ場へ。

昌樹くんとヤスくんが前を歩く。

彩月ちゃんが、

「お好み焼き美味しかった?」

と。

「うん!」

「キャンプ、楽しみ?」

「うん!」

「手、繋ぎたい?」

「うん。」

「やっぱりー!」

「あっ!彩月ちゃん!」

「だって、ずっと手見てるんだもん。分かるよ。」

そう言ってすごくキレイな笑顔を向けた。

「ヤスくん!昌樹!歩くの速いよ。」

「わりぃ。」

そう言って振り向いた。

「ガンバレ!」

彩月ちゃんが小声で言った。

昌樹くんが彩月ちゃんの隣に。ヤスくんが私の隣にきた。

私から!?小指掴むくらいしかできないよ。

ある女性グループとすれ違った。ヤスくんを見てた一人が……

「今の男、カッコイイね!」

そんな声が聞こえてきた。

「あんな胸に抱かれたーい!」

そんな大胆な発言をしてる!

やめてよ!

ヤスくんは誰にもあげないもん!

一歩遅れて歩く私に気が付いて、

「どうした?」

そう言って、手を差し出してくれる。

胸がキュンてなる。

「なんでもない。」

差し出された手を握る。

この手を離したくない。



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