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ぜんぶ二人ではじめて

第10章 ドキドキの夏休み

side 泰宏

いつの間にかコテージに戻ってた。

市川さんがノックをしようと手をかざした。

おかしい。

昼間なのに、さっきは開いてたカーテンが閉まってる!

昌樹、ここに来る前、俺に宣言してた。

「もし、二人きりの時間ができたら、決める!彩月のこと、抱く!」

そう言った昌樹がいつもよりかっこよく見えた。

それを思い出して、俺は市川さんに止めるよう伝えた。

しかしまさか、昼間からとはなー……

夜、小一時間くらい市川さんと星見に出ようかと思ってたんだが……ま、それはそれで良いけど。

市川さんは鈍感な上に性について、あまりよく理解してないみたいだ。

俺が教えるなんて言ったら照れるかと思ったんだけど、どうにも内容が理解できてないから気になって仕方ないって感じだった。

市川さんの足元に急にカエルが出てきて、大騒ぎの市川さん。虫もダメなんだ。

カエルを捕まえたら手を洗っても、もう手は繋がない発言に、仕方なく場所を移動する。

抱っこしてくしか思い浮かばない俺は、腕を広げて、抱き止めた。

市川さんの柔らかい胸が……ふわって当たる。

気持ちいいって言ってた彩月の言葉がリピートされる。

ドキドキ……ドキドキ……

市川さんもドキドキしてる!?

俺の音?二人の音?

別の屋根がある休憩室に入ったが、もうすぐ時間になるので、また、コテージに向かうことにした。

カエルがいたからか、すっかりびびってる市川さん。

その姿がおかしくて、可愛いくて、いじりたくなる。

「あっ!」

それしか言ってないのに、

「きゃーー!なになになに?」

この反応。

「びびりすぎだよ、市川さん。……手繋ぐ?腕組む?それとも抱っこしてく?」

なんて聞いてみる。

「抱っこは恥ずかしいから、……腕組んでも良い?」

「良いよ。」

ギュッと腕に腕を絡めた。

やんわり胸が当たる!

役得ー!ラッキー!!!

ちょっと、いたずらしたくなってきた。

俺は組んでない方の手を腕組みして、もう少し胸が当たることを期待して……

「カエルって、いろんな種類いるけど、どれが一番やだ?」

そう聞いてみた。いたずら開始だ。

「種類とか分かんないけど、お名前言うのも嫌!」

本当に相当嫌いみたいだ。

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