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ぜんぶ二人ではじめて

第10章 ドキドキの夏休み

side 泰宏

市川さんの誘惑に頑張って勝った、俺。

本当は嬉しかった。

でも、市川さんときちんと形になってから少しずつ進みたいんだ。

夜、散歩に誘った。

星が海に降ってきたみたい…

そう話す市川さんが一番キレイだ。

「クッシュン…」

「寒い?」

「うん、ちょっと。上着持ってくれば良かったな。」

「俺の着なよ。」

パサッ!

俺は、手に持ってた長袖をかけた。

「ありがとう。ヤスくんは寒くない?」

「うん。平気。」

ダボッとしてて、可愛い。

「手が出ない。」

そう言って頑張って袖を折る。

滑ってうまくできないみたいだ。

「やってあげる。」

俺は、市川さんの手が出るように折り込む。

距離が近くて緊張する。

「できたよ。」

「ありがとう。」

「めっちゃブカブカ!」

「ワンピになっちゃった!」

そんな会話をして笑う。

「楽しい1日だったね。」

キラキラ溢れる笑顔。

「あぁ。」

照れ隠しでそれしか答えられない。

すっげぇキレイなんだもん。

多分、今…俺、顔、真っ赤になってるに違いない。

「また来たいね。」

「あぁ。」

「夏の予定、終わっちゃったなー。」

「俺も。あとは部活と畑の手伝い!」

「私も。」

そう言って笑い合う。

「そっち、岩場になるから、危ないよ。」

そう言って手を差し出す。

「はーい。」

手に捕まりながら、照れてるのが分かる。

無言で、手を繋いだまま歩く。

「ヤスくん…寒くない?」

「うん。まだ寒い?」

「ううん。大丈夫!…ふぁぁぁ…」

あくびしてる。

可愛い!!!

「眠い?」

「ん。ちょっと…。」

「戻るか?」

「うん。」

コテージに戻った。

「あれ?暗いね?」

「あぁ。」

「二人いないのかな?」

小一時間、散歩をして戻ったら、コテージは真っ暗…

鍵を開けて中に入って電気をつける。

「ヤスくん、テーブルに手紙があるよ?」

「何て?」

「近くのホテルに行ってきます。朝には戻ります……だって。」

「はぁ?」

「ホテル?」

「…もー知らん!寝る!」

「ホテル?なんで?」

「朝まで思いっきりイチャイチャしたいってことだよ。」

「イチャイチャ?」

「エロいことするの。」

「なっ‼︎‼︎」

その表情最高!

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