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ぜんぶ二人ではじめて

第10章 ドキドキの夏休み

「まぁ、ベッド一人ずつ使えるし、ラッキーじゃん。」

一緒に寝るの、やっぱり抵抗あったし。

「あっ……うん。」

いや、一緒が良いけどさ。本当は。

でも、昼間、理性失いかけてるから、ちょっと自分を信じられない。

市川さんのこと、傷つけたくない。

「寝よう?」

俺がそう言うと、市川さんが、

「あの……」

言葉に詰まってる。

「…えっと……一緒はやっぱりダメ?」

見上げながら言う。

「いや……ダメではないけど……」

心臓がバクバク言っててそれしか言えない。

「ここ、虫出るから怖いんだもん。」

「あ。そーゆーこと。」

意外な答えで少し拍子抜け。確かに虫、苦手だもんな。

「う、うん。」

「一緒で良いの?……昼間の続きしちゃうかもしれないよ?」

意地悪を言う。

「あ…続きってよく分からないけど……一緒が良いの。……ダメ?」

そんな可愛い顔で何言ってんだよ。

俯いて真っ赤になる市川さん。

「ダメじゃ……ないよ。寝ようか。」

「うん。」

俺たちはベッドに向かった。

壁側に市川さん。

壁に顔を向けて横になる。

布団を捲って市川さんの背中側に入る……

ドクンドクンドクン……

一枚の布団に……

もっと狭いかと、思ってたけど、意外と余裕あるな。

俺は、なるべく体に触れないようにしていた。

「ヤスくん……」

「ん?」

「そっち、向いても良い?」

ドキン!!!

「虫いた?」

「ううん。壁見てると怖い。」

いちいち可愛い!!!

「良い……よ。」

これは誘惑ではない。誘惑ではない。

俺は、自分に言い聞かせる。

モゾッと動いてこっちを向いた。

ドキン!ドキドキ……ドキドキ……

「ドキドキ……するね。」

「あぁ。」

俺は、硬直してた。

「ヤスくん……」

そう言って見上げる。

このアングル、最高だな!

「ん?」

「今日はいっぱい……ドキドキした。今も……ドキドキすごい……。」

そう言って市川さんが俺にくっついた!

「えっと……どした?」

「ダメ?」

心臓が爆音立ててる。

「ダメ……じゃないけど……このままはマズイ。本気で……コントロール効かなくなるよ?良いの?」

「……」

「それでも良いなら……」

そう言って市川さんに全ての決定権を委ねた。

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