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ぜんぶ二人ではじめて

第10章 ドキドキの夏休み

side 泰宏

眠りに就いた市川さんの寝顔をそーっと覗き込む。

可愛すぎて、ボーッといつまでも見つめてた。

俺……すげぇ頑張ったよなー。

昼間も、さっきも。

市川さん……

プルプルの唇……

プニッて親指で触ってみた。

柔らかいッ!

そのまま、頬を触り、髪を耳にかけて、顔の面積を出した。

キミみたいな可愛い子に出会えて本当に幸せだよ。

ボーッと見つめながら、俺は眠りに就いた。

そして、翌朝、市川さんがモゾッと動いた気がして、俺は挨拶しようとした。

目を開けようとしたら、かなり唇に近い頬に柔らかいふわっとした感覚が届いた。

まさかと思い、薄く目を開けると、市川さんがキスしてくれた!

内心、大パニックだ。

「ん?おはよ。」

知らないフリして目覚めると、布団をかぶって顔を隠してた。でも、耳まで真っ赤になってるのが見えて、すごく可愛くて、弄り倒したい!なんて、思った。

起きてたことばらすと、ズルい!って言ってきた。

だけどやっぱり可愛くて、まだ構う。

俺から余裕を感じるなんて言ってたけど、そこは否定した。

俺もキミと同じだよって。ちゃんと伝えた。

可愛いことばっか言ってると、途中までならしちゃうかもしんないよ?!って、ちょっと脅してるのに、俺に全部教えてもらいたい。だって?

そう言った彼女の顔が、今まで見た中で一番綺麗で、可愛くて……

弄りたいなんて欲望は吹き飛び、俺はベッドから、降りて床にストンと座るしかなかった。

真っ赤な顔を見られたくなかった。

可愛くて……唇の動きがスローモーションに見えた。

取っておくのできなくなりそうで……離れるしかなかった。

「ヤスくん?」

呼び掛けてこっちに来る気配を感じる。

「来ないで。てか、見ないで。」

そう伝えた。

「なんで?」

「何でも。」

「怒った?」

「怒ってない。」

俺はバクバクうるさい心臓を落ち着かせようと、必死で深呼吸をする。

「ヤスくん……」

ただ呼ばれただけなのに、なぜかエロく聞こえる。

理性が飛びかかってるんだと思う。

頑張って繋ぎ止める。

思えば市川さんの仕草に振り回されてばかりだったな。

でも、すごく楽しかった。

嬉しかった。

ラッキーハプニング……最高!

神様ありがとう!

もっとちゃんと状況がそろったら、告白する!



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