テキストサイズ

ぜんぶ二人ではじめて

第10章 ドキドキの夏休み

「ヤスくん……あ!雨……」

「ほんとだ。」

「帰る?」

「いや。雷鳴るぞ、これ。」

「えー?!」

ゴロゴロゴロゴロ……

「やだぁ!」

一気に辺りが暗くなる。

「大丈夫だよ。」

「怖いよ……」

「……来る?」

「良い?」

「良いよ。」

ソファーに座ってた俺の前に来た。

そっと腕を伸ばして、抱き寄せる。

昨夜、密着して寝たのに……やっぱ、緊張する。

ゴロゴロ……ゴロゴロ……

俺の胸に顔を当ててTシャツを掴む。

怖いんだな。

ピカッ!ドドドーーーン!!!

「キャーーー!!」

「すっげーな、今の。落ちたか?」

カタカタ震えてる……

「カーテン閉める?」

「え?あ……うん。」

「閉めてくるよ。」

「うん。」

これで少しは外からの光が入らないだろ。

そう思ったんだが……

「ヤスくん!!!暗くて怖い!!!」

と。

そっか。

「電気つけるよ。」

カチッ!!!

「停電かな。」

「えー?もーやだー!ヤスくん。抱いて……」

「な!?あ……あぁ……」

びっくりした!抱き締めての間違いだろ。

間違えんなよ。

焦るから。

「おいで。」

「いつも……ごめんね。」

「全然いいよ。むしろラッキーだし。」

もう、二人の会話を楽しむつもりでいた。

「シャワー浴びたてだからか、すっげぇ良い匂い。」

そう言ってうなじに鼻を近付ける。

「やだ、ヤスくん。」

「何もしねーよ。」

「良い匂いとか言うから……もぉ……」

ドキドキしてるのが分かる。

そう言えば、耳、弱いんだっけな。

俺の中で、ちょっぴり意地悪が目覚めた。

「そーゆーこと言うとイタズラしたくなるんだよ?」

「えっ??」

ゴロゴロ……

ビクッてする、市川さん。

離れられないことを良いことに……

耳に息をかけた。

フーーッ

「やぁん!」

「(クスッ)」

可愛い反応。

もう一度……今度は耳たぶを指で触る。

「んっ!」

可愛い!

次は、耳の周りを舌で舐める。

「あぁぁん!やだぁぁぁ……」

エロッ!

やべ……とまんねぇ……

耳元で低い声で、

「可愛いよ。」

そう伝えた。

もっとドキドキしてきた!



ストーリーメニュー

TOPTOPへ