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ぜんぶ二人ではじめて

第11章 心のキズ

side 泰宏

市川さんに輝くんが抱きついてるところを見てから、

オレはやっぱ、輝くんに対して、

いろんな感情を抱いていた。

あんなことしておいて!

でも、おかげで俺と市川さんの距離はだいぶ縮まった!

とか。

まぁ、そういったことを。

毎日思ってた。

半年に一度の席替えで、市川さんと隣同士になれて、

ものすごーーーく嬉しかった。

可愛い市川さんの隣にいて良いんだもんな。

ラッキー!

そんな、喜びを持ったのもつかの間、

市川さんラブ組が輝くんに言い寄って、市川さんに何をしたのかって、問い詰めた。

まぁ、結果、シカト!

だよな、普通。

あの五人全員に告白されたって言ってたな、市川さん。晃くんなんて、俺がいる目の前でコクるんだもんな。言わずにはいられなかったんだろうな。ただやっぱり輝くんの言動には警戒する。

輝くんが話したいって言ってきたら、付き合うよ、なんて……

かっこつけて、

迷惑なんて思わない!

なんて言ってみた。

市川さん、赤くなった!

やっぱ、可愛いなー。

少しでも市川さんにカッコいいとか、頼れるとか、男らしいとか、そういう印象を持たれたい。

でも、俺、この夏で、相当、自分で自分の首絞めてるよな。

告白するタイミング、逃しまくりだ。

俺の気持ちはわかってるだろうけど、やっぱりちゃんと伝えてから付き合いたい。

市川さんが可愛すぎて、欲望に負けていろいろしてしまったからな。そんなことした後での告白なんて、ただの体目当てとしか思えないよな。

一応、前に首に「予約」したけど、

予約の意味、分かってなさそーだ。

ちゃんと状況が整うまで待っててって言ったけど、そろそろ限界だなー、俺。

言わずにはいられない。

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