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ぜんぶ二人ではじめて

第11章 心のキズ

ご飯を食べ終えて、

リビングでくつろいでいた。

観ていたテレビがまずかった。

女性が倉庫でレイプされる場面……。

ナナちゃんが昼間の出来事をシンクロさせてしまったようで……

「ヤスくんがいなかったら、私、多分、今頃……」

途中まで言って、

ポロッ

涙が一滴落ちた。

ドキッ!!!

「……泣かないで。」

「ごめんね。」

そう言った、その声……

涙を拭う仕草……

ヤバい!

本気でセーブきかないかも。

これは……言っておかないと、ダメだ。

「市川さん!」

「え?」

「俺が……」

「ん?」

「……守るよ。市川さんのこと。」

「ヤスくん……」

違うーーー!

そうじゃないのに!

俺がナナちゃんのことを襲いそうだから、あんまり可愛いこと言わないでって……

言えるかよ。

ヤバい……

ますます可愛いわ。

本気で襲わないようにしないとな。

頑張れ、俺!!!

「ヤスくん、ありがとう。いつも、ヤスくんといると……安心なの。」

そう言って、ナナちゃんが、俺を見つめた!

やめてくれー!

そんな可愛い瞳で……

キスしたーーーい!

って、付き合ってもいないのに……

ムリだよなー。唇はとっておく!

あーあ。生殺し!

「優しくしてくれて、ありがとう。」

さらに可愛い笑顔で俺を見つめる。

「市川さん……」

そっと手を伸ばして、

抱き締めようと思ってしまった!

ヤバい!

そうなったら俺は自分に負ける!

今日は本気でヤバい……

伸ばした手をナナちゃんの頭に置いて、

小さい子を慰めるように、

よしよし

した。

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