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ぜんぶ二人ではじめて

第11章 心のキズ

side 七海

ヤスくんがいなかったら私……

多分、犯されていたよね。

といっても何されるか詳しく分からないんだけど。

テレビのおかげで、少し分かった。

男の人の力強さ…怖さだけは十分感じた。

ヤスくん以外に触られるのが本当に嫌。

もし、犯されていたら私にとって一生残る傷だった。

そうならなかった!

ヤスくんのおかげで。

私、ヴァージンは、ヤスくんに捧げたい。

ヤスくんと寄り添って歩きたい。

ヤスくんと抱き合ったりしたい。

他の男の子に触られると、本当にゾッとするのに、

ヤスくん……

抱き締めてくれたとき、

ただただドキドキした。

心が浮き足立つような気持ちになった。

頭を撫でられてる今……

胸に飛び込みたいくらいだよ。

形になりたい。

ヤスくんが告白するから状況が整うまで待ってって言ってくれたけど、早く、形になりたいよ。

私もヤスくんのこと……好きだよ。

頭を撫でてた手が、

離れていく。

あ。

もっと……

撫でてて……

もっと……

触れてて……

そう思ったら、

ヤスくんの手を握ってた。

「市川さん?」

あ。

どうしよ?

何も考えてなかった!

「えっと……。……ヤスくんの手、落ち着くから……」

そう答えた。

誘惑ではないけど、

自分の行動が恥ずかしくて、

「ごめんなさい。」

うつむいて手を離した。

「いいよ。」

そう言ってヤスくんがまた手を握ってくれた。

大きな手……

優しくて温かい手。

ヤスくん、好きだよ。

心のなかで言っても伝わらないのに。

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