テキストサイズ

ぜんぶ二人ではじめて

第11章 心のキズ

side 泰宏

ナナちゃんが手を握るから、

マジで抱き寄せて、

キスしたかったよ。

安心する……なんて言われたら、何もできない。

その気持ちを踏みにじるようなことはできない。

ナナちゃん……

「お風呂、どーぞ?」

そう言われて、ハッとする。

そうでした。

今夜はここに泊まるんだよ。

待てよ?!

ナナちゃん……部屋、どーする?

同じ部屋……だよな?

手出さずに頑張れるのか、俺。

抱き締めて、キスまでならありか?

なし……か。

付き合ってないと、

そりゃぁ、ダメだよな。

何より、ナナちゃんは俺を信用してくれてるんだから……

それを裏切っちゃダメだな。

さっさと寝るに限るな。

ナナちゃんも疲れただろうし。

寝て忘れた方が良いしな。

いろんなことを考えて風呂から出た。

ナナちゃんがお風呂に入った。

いろいろ考える。

ナナちゃんは俺のこと、好きかな?

コクる状況がそろうまで待っててと言ったら待つと言ってくれたしな。

顔全体にキスしたしな。

何度も抱き合ったしな。

晃くんのことが好きって噂で聞いたけど、この前のあの一件で、完全に告白されたけど、断ってたもんな。

『世界中を敵に回してでも、市川のことが好きだ!』

あんなカッコいい告白あるんだな。

俺がナナちゃんのことを好きだって、伝えたら、迷惑かな?

俺とドキドキの正体を考えていくのって、逆に告白するタイミングが難しくなった?

始めからうまくいくなんてこと、

最初から両想い……

なんて、うまい具合にいくわけないよな。

ナナちゃんの気持ちが知りたい……

ストーリーメニュー

TOPTOPへ