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ぜんぶ二人ではじめて

第16章 密着

ヤスくんの大きい手が誘導してくれる。

この手、大好き!

「ナナちゃん?入れる?」

「あ!うん。」

浮き輪の中に入ってまた、漂う。

でも!ヤスくんとの距離が近くて!!!

クルクル回りながら気を紛らわそうと頑張るけど、なかなか難しくて……。

二人とも真っ赤な顔してた。

それを知ってか知らずか、彩月ちゃんと昌樹くんは、同じ体勢なのに、落ち着いてて、距離が私たちよりももっと近い!

平気なのかなぁ?

「昌樹!変なとこ触らないでよ!」

「んー?あんなの触ったうちに入らないよ。」

なんて会話が聞こえてきた。

「昌樹ー!」

「太もも、気持ち良いんだもん!」

開き直るし、さわり続けてるし。

二人がすごすぎて、

耳まで真っ赤になったのが分かった。

「ナナちゃん……オレ、もうひとつ、浮き輪借りてくるよ。」

「え?なんで?」

「距離……近すぎて、ちょっと緊張する……ゴメン。」

ヤスくん……

「一緒に借りに行こ?」

「うん。」

一度プールを出て、手を繋いだ。

借りるところが少し混んでて、私は手前にあった椅子に座って、浮き輪を抱えて待ってた。

「キミ、1人?」

年上っぽい男の人が声をかけてきた。

私は無視した。

すると、私が座ってた椅子に手をかけて、

いきなり、

「可愛いから声かけてんだよ。聞けよ。」

ガタン!

音を立てて手をかけていた椅子を揺らした!

ビクンッ!

肩が震える。

そして顔を近づけてきた。

やだ!怖い!!!

「やだ……」

私は俯いて、浮き輪を盾にした。

「足、キレイだね!触られたいから出してるんだろ?」

なんて言ってきた!

ゾゾゾーーーッとして、

私は、

「ヤスくん……」

小さい声で呼んだ。

「水着は足が出てて当たり前だろ!離れろ!」

そう言ってヤスくんが現れた。

「なんだ。男連れかよ!」

そう言ってその人はいなくなった。

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