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ぜんぶ二人ではじめて

第16章 密着

「1人にさせてゴメン。」

ヤスくんが優しい声で包んでくれた。

「ヤスくん……」

私は不安すぎて、怖すぎて、ヤスくんの手をギューッと握った。

「怖かったね。」

「ん……」

「ごめんね。」

「ん……」

隣に座って、頭を撫でてくれた。

落ち着く……この大きな手……

大好き……。

「ヤスくん……」

ヤスくんを見ると、心配そうに見つめてた。

「ナナちゃん……涙、落ちそう。」

そう言ってヤスくんが涙を親指でそっと拭ってくれた。

「大丈夫?」

「うん。」

「プール行く?もう少し、休む?」

「プール行く。」

「そっか。やっぱ浮き輪いらない!」

そう言って、2つとも返して、波のプールに入った。

波のプールは場所によって、高い波がくる。

私は背が低い。

「怖かったら捕まって良いよ。」

なんて……

恥ずかしいけど、ヤスくんに捕まった。

高い波が来て、二人とも潜っちゃった。

でも、水の中でもヤスくんが手を放さないでいてくれた。

「ナナちゃん、大丈夫?」

私の脇腹をヤスくんが軽々持ち上げる。

「大丈夫!アハハ!楽しい!」

ザブーーン!

また、波が来た!

「キャーーッ!」

私は子どもみたいにはしゃいでた。

作り物の岩影……

波が穏やかな場所……

人影もない。

そこに二人でたどり着いた。

プールから顔だけ出して、足元にある岩に体をもたれかける。

ずっと繋いだままの手……

「手……ずっと繋いでるね。」

私が話す。

「今日はトイレと食事以外放さない。」

ヤスくんが私の心を掴む。

「うん。ずっと繋いでようね。」

私が自然と笑顔になる。

「ナナちゃん……キスして良い?」

「えっ!!!今?」

「うん。」

「だ、だ、誰かに見られちゃうよ……」

「ゴメン……一回だけ……」

そう言って、半ば強引に手を引き寄せられて、

チュッ……

「あ……もぉ……ヤスくんたら……」

俯いてそう言った。

「可愛いよ。ナナちゃん……」

ヤスくんが真っ赤な顔をのぞきこむ。

「あんまり見ないでよ。」

小さな声で伝える。

「見ないわけないでしょ。可愛いんだから。その一瞬一瞬をちゃんと見たい。」

そう言って、耳許で、

「もっと可愛いナナちゃん、これからたくさん見るからね。」

そう言った。

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