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ぜんぶ二人ではじめて

第22章 新しい景色

「すみれちゃんもそうだけど、あ!ナナのママね?」

「はい。」

「親子そろって、自分の可愛さ、全く理解してないでしょ?」

と、おじいさん。

「そうなんですよ!」

俺は力が入った。

「あれは治らんから、泰宏くん、よーく捕まえて守ってやってね?」

「はい。……治らないんですか?」

「治らん、治らん!良い女っていうのは、気にしないんだよ。周りの評価なんてね。本能で分かってるもんなんだよ。」

「深いですね。」

「まぁね。あれでいて、万葉も昔はべっぴんさんでねー。」

懐かしそうに目を細めて言った。

「今も素敵ですよ。」

俺は思った通りのことを口にした。

「ありがとう。多分だけど、美人でも万葉やナナやすみれちゃんみたいに、能天気で天然だと、一緒にいても飽きないんだろうよ。」

そう言ってまた二人で大笑いした。

お茶をいただいて、電車でナナ家に向かった。

荷物は大きな袋2つと小さめの袋1つ。

もちろん俺が大きな袋を両方持っている。

タクシー代をくださった、おじいさんのご好意に甘え、ナナちゃん家までタクシーを使った。

ピンポーン……

「はーい?」

中からナナちゃんのお母さんの声がした。

ガチャッ……

門が開き、

「どうぞー!」

と、招き入れられた。

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