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ぜんぶ二人ではじめて

第22章 新しい景色

お父さんの車にある荷物を運ぶのを手伝った。

そのあと、

食事をご馳走になって、

俺は、

「お邪魔しました。」

挨拶して、ナナちゃん家をあとにした。

「ヤスくん、気を付けてね。」

「うん。」

「門まで送るー。」

「ありがと。」

ナナちゃんが可愛くて可愛くて……

変だな。

また会えるのに、

寂しく感じる。

「泰宏くん!」

ナナちゃんのお父さんに呼ばれた。

「はい?」

「深澤家に用事ができたから、送るよ。」

「私も行くー!」

「七海はすみれといなさい。」

「はぁい。」

臨月に入るお母さんへの気遣いもしていて、

ナナちゃんのお父さんは、かっこいい。

キャンピングカーで自転車ごと、送ってくれることになった。

道中、

「七海は、毎日学校に楽しそうに行っていたから、安心だったけど、今、一番、本当に楽しそうにしてるよ。泰宏くんのおかげだね。ありがとう。」

と、言ってくれた。

「いえ。俺も楽しいですから。ありがとうございます。」

「七海、ヤスくんの人柄に惚れたんだなー。」

お父さんに言われると何だかとても照れ臭い。

「俺とすみれは、医学部の先輩後輩でね。」

「そうなんですか。」

「うん。当時のすみれは、ほんと、モテてね。何人もすみれに言い寄って来てたんだけど、俺のことだけ、受け入れてくれて。それで、まぁ……出来ちゃったから学生結婚したんだよ。」

「あ!そうだったんですか。」

「当時は周りに大反対されてさ。すみれも結構、大変だったんだよ。でも、すみれの両親は違ったんだ。どんなに周りに反対されても、すみれの意思を尊重して、守ってくれた。結果的には俺のことも。」

「……」

「俺の両親に頭まで下げてさ。すみれが一緒になりたいと言ってるんです!って。二人が幸せならそれを一緒に見守ってみませんか?って。堅物なうちの両親を説得して納得させてくれたんだよ。まぁ、そのあと、俺は七海が生まれても学生だったから、奨学金借りて、バイトもして、すみれに金で苦労させないように頑張ろうと必死で国家試験受けたんだよ。今思えば学生結婚も悪くないけどね。できれば、お互いの将来が見えてからのほうが良いとは思うよ。なんて。説教くさくなっちゃって、ごめんね。」

そう言った、お父さんの話でナナちゃんにたいしての愛情の深さが分かった気がした。




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