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ぜんぶ二人ではじめて

第3章 勘違いの恋

あ!雨降ってる……

外を見ると雨だった。

私は、庭に干してある洗濯物を取り込みに行った。

今日は、量が多いから、何回か家と庭を往復する。

家の前の道を泰宏くんが自転車を押して濡れながら帰ってた。

え?ずぶ濡れじゃない!

そう思って、急いで玄関から家にある傘で一番大きい傘を持って、門まで走った!

「泰宏くん!」

「ん?市川さん?」

「傘ないの?」

「あぁ。急に降ってきたから……」

「はい、傘。」

ザアザア……

雨足が強まる……

「雨宿りしてく?」

「ありがとう。助かる。」

傘を差し出して、相合い傘にした。

距離が近くて……

ドキンドキン……

胸がうるさい。

自転車はガレージに入れてもらい、玄関までまた相合い傘で行く……

「俺が持つよ、傘。」

「あ。うん。」

「市川さん、濡れてるよ?」

恥ずかしくて、少し離れて歩いてたら、左の肩が濡れた。

泰宏くんが、濡れないように近づいてくれた。

「あ、ありがと。」

ドキドキ、聞こえないかな!?

傘をたたんで、家へと入る。

ドアを閉めた瞬間、

ゴロゴロ……ピシャーーーン!

雷!

「きゃぁぁ!」

私は雷が大嫌い!

思わず悲鳴あげて、ずぶ濡れの泰宏くんの胸に飛び込んでしまった。

ハッとして、

「ご、ご、ごめんなさい……」

離れようとした……

「いいよ。」

泰宏くんが、そのままキュッて、抱きしめてくれた!

「震えてるよ。雷怖い?」

「(コクン)」

「大丈夫だよ。」

バクバクバクバク……

心臓が!

ゴロゴロ……

また雷!

「大丈夫だよ。」

泰宏くんの声が……安心させてくれる。

トクントクン……

「泰宏くん、ありがとう。」

落ち着く声だけど、ドキドキする。

ドキンドキン……

泰宏くんの鼓動も私と同じだ……

聞こえる。泰宏くんの鼓動。

雨にうたれた体が冷える……

ブルッ!!

怖さではなく、寒さで震えた。

「……寒いね。体、拭かないと、だね。」

ドキドキしながらやっと伝える。

「そうだね。」

目が合ったらまたドキドキしそうだから、わざと下を向きながら体を離した。

「どうぞ。入って?」

「お邪魔します……」

リビングに入った。

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