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ぜんぶ二人ではじめて

第25章 誕生

ヤスくんが、

「お母さん、どんな感じ?」

と、聞いてきた。

「だいぶ陣痛の感覚も縮まってきたって、さっき助産師さんが言ってたよ。」

私が答えると、

「今のうちに市川のじぃじたちにも知らせた方が良いんじゃない?」

そう、言ってくれた。

「そうだよね!」

私ははっきり言ってそこまで頭が回らなかったから、助かる。

「いいよ。俺が連絡するよ。」

じいちゃんがそう言ってくれて、席を立った。

「七海!入って良いって!」

お父さんが私に言う。

「え?」

「いや、こんなに歳の離れた姉妹もそうはいないから、七海が年頃だからとかいろいろ話したら、助産師さんが先生に話してくれて、七海も俺も入って良いってことにしてくれたんだよ。良い機会だから、入りな?」

そうお父さんが言った。

「え……良いの?」

「うん。」

「ナナちゃん、お母さんの頑張り、よーく見てきて、あとで教えてね?!」

ヤスくんが後押ししてくれた。

「うん!」

そして、分娩室にお父さんと入った。

「七海の時、思い出すねー。」

お父さんがお母さんに話しかける。

「うんッ。んーー!」

力んで良い時みたい。

「次の痛い時、また力込めて!次で出るよ!」

助産師さんの声が聞こえた。

「お母さん、頑張れ!」

お母さんの一生懸命な姿!

応援しなきゃ!

「七海ちゃん?」

助産師さんが私の名前を呼んだ。

「はい。」

「こっちから見る?」

「え?良いんですか?」

「良いわよ。あなたも近い将来、お母さんになるんだから。こんなチャンス、滅多にないわよ。」

「お母さん、良い?」

一応、聞く。

「もちろん。お勉強してね?」

「うん!ありがとう。」

トクトクトクトク……

力強い赤ちゃんの心音。

見ると、もう、赤ちゃんの髪の毛が見え隠れしてた。

「スー……ハー……」

お母さんが息を吸って吐いて、

「ンーーーーー!」

力一杯力む。

頑張れ!!!

頑張れ!!!

赤ちゃんの頭が出てきた!!!

すごい!

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