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ぜんぶ二人ではじめて

第27章 受け入れ準備

クールを装えなくなりそうで、俺は、ナナちゃんを強く抱き締めて、今日はしない!

もう一度心の中で思った。

そっと離れて、

「フルート、片付けようか。」

と、言った。

「うん。」

ナナちゃんが少し寂しそうに見えた。

「もう一回、吹く?」

ナナちゃんに聞くと、

「ううん。」

「どうしたの?」

「なんでもないもん。」

そう言うときって、絶対何かあるもんだろ?

背中を向けるナナちゃん……。

「こっち向いて?」

「や。」

「なんで?」

「今は…………め。」



なんか声、変。

「ナナちゃん?」

「ん……」

肩が震えてる……

「どうしたの?俺、ナナちゃんに困らされるのなら、全部受け入れるよ。いっぱい甘えて、いっぱいワガママ言って良いよ。」

そう言うと、

「ヤスくんッ!」

そう言ってまた抱き締められた。

リビングのソファーで抱き合う。

さっきと違うのは、ナナちゃんが涙を流していたというところ。

「ヤスくん、今日帰っちゃうのやだ。胸がギューッてなるの。」

そう言ってまたポロポロ泣いた。

すっげー可愛い……。

俺も胸がキュンとなる。

「ナナちゃん。俺も……帰りたくないけど、また明日、遊びに来るよ。毎日、会いに来るよ。」

「……ほんと?」

「あぁ。真夜中でも飛んで来ちゃうかもな。」

「そんなこと言ったらほんとに呼んじゃうよ。」

「あぁ。呼んで良いよ。俺の頭の中、ナナちゃんのことしか考えてないから。」

頭を撫でながら言った。

「自分がこんなに恋に一生懸命になるなんて思わなかった。苦しいよ。」

ナナちゃんが胸に顔を埋めて伝える。

俺と同じ気持ちだって分かる。

「だから、良いんだよ。そういう苦い思いもしないと、恋は愛に変われないんじゃないかな?」

なんでナナちゃんといるとクサイ台詞が言えるんだろうな。

「そっか。ヤスくんて頭良いね。」

「ナナちゃんのことを想うとね。」

「ヤスくん……?」

「ん?」

「……だ、抱いて?」

ゴックン……

生唾飲み込んだ。

なんだって?




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