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ぜんぶ二人ではじめて

第29章 愛をあげよう

ホギャァァ……

フギャァァ……

美空と陸翔が同じタイミングで泣き出した。

私とヤスくんは、お母さんより早く反応して、オムツを見る。

「あら!ありがとう。二人とも。」

母さんが言う。

「いいえー。母さんはゆっくり食べてて?」

あんまり母乳は出ない母さん。

だけどお世話は体力勝負!たくさん食べて栄養つけてもらわないと!

オムツをさっさと交換し、

「ナナちゃん、ミルク作ってくるよ。」

ヤスくんがミルクを。

「ありがとう。」

「なんだ。もう、いつ子どもが出来ても問題ないなー。」

なんて、じーちゃん。

「まだ問題大有りよ!働いてもないのに。」

と、ばぁば。

「ヤスくんは将来のこと、考えてるの?」

なんて、ばーちゃん。

「あ、はい。まだ、家族にも伝えていないんですけど……」

ミルクを冷ましながらヤスくんが答える。

「大学は行くの?」

と、じぃじ。

「いえ。実家の農家を継ぎたいと思っています。」

ヤスくんが答えた。

揺りかごから出して、交互に抱っこであやしながらミルクが冷めるのを待つ。

「それは!貢さんに報告しないとなぁ!」

そう言ってじーちゃんがうっすら涙を溜めていた。

「立派ねー。」

「安心だ。」

「良い人見つけたな、ナナ。」

「私たち、応援するよ。頑張ってね。」

人肌に冷ましたミルクを持って、ヤスくんが、

「ありがとうございます。俺、全然まだまだ未熟者ですが!ナナちゃんとのお付き合いは、すっごく真剣に考えています。皆さんはナナちゃんにこうなって欲しいとか、将来の夢をお持ちですか?」

ミルクを手渡しながら皆に聞いた。


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