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ぜんぶ二人ではじめて

第30章 ファンクラブの掟.

昇降口で上履きに履き替えた。

「あ!靴下……」

私がプレゼントした靴下を二人とも履いていた。

ふわっとした空気が流れる。

キスしたい。

そうもいかない。

「ナナちゃん……そーゆー顔するなよ。」

ヤスくんにはバレバレ。

「はぁい。」

ヤスくんが頭を撫でてくれた。

これだけで今はいーや。

教室に入ると、

「おはよー。」

「おはよー。」

「市川?!」

「いち…かわ?」

ガヤガヤ……

みんなの視線が集まる……。

ヤスくんと席に着いて、ホームルームの準備を始めた。

今日の日直は昌樹くんと彩月ちゃん。

昌樹くんがヤスくんにプリント類運ぶ手伝いをお願いしたから三人で行ってしまった。

「市川。」

「ん?晃くん……。何?」

「ちょっと良い?」

「うん。???」

まだホームルームが始まるまで時間はある。

「来て……」

そう言われて着いて行くと、

廊下で止まった。

「あ。みんな。おはよう。」

廊下にはファンクラブのメンバーがいた。

「おはよ。」

「市川、おはよー。」

口々に挨拶してくれる。

みんな、気は優しい人たちだ。

「俺たち、冬休みに集まって、ファンクラブの掟を考えたんだ。」

輝くんが言う。

掟?

「そうなんだ。」

「で、市川に迷惑はかけないつもりだけど、好きな人のことはやっぱり知りたいじゃん?」

悦司くんが続ける。

「うん。」

「これ、読んでおいて?」

「?うん。ヤスくんに見せても良い?」

「いいよ。」

掟……ね。



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