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ぜんぶ二人ではじめて

第4章 晃くんが分からない

へなへな……

その場にへたれこむ。

どういうつもり?

晃くんが、分からない。

私の心臓も……分からない。

ガラッ!

「あれ?市川さん。どうした?」

ドアが開いて泰宏くんが声をかけた。

「えっ……と…………」

「大丈夫?雷鳴ってないよ?」

座り込んでる私に、イタズラっぽく笑いながら言う。

でも、私はパニックのあまり、涙が溢れそうになってた。

大丈夫じゃないけど…………

「大丈夫…………」

そう言うしかない。

立ち上がろうとしたけど、泰宏くんが、優しい声で、

「大丈夫そうに見えないよ。もし、俺のせいで嫌な思いさせたなら、ごめんな。」

そう言って、頭をぽんぽんてしてくれた。

胸がキューンとなる。

晃くんに、泰宏くんに、ときめく……

本当にやだ。

ぽんぽん頭を撫でられながら、

「晃くんに何か言われた?」

晃くん……て名前聞いただけなのに、ビクッてなる。

「わ……たし、……昨日、泰宏くんにドキドキしたのに、さっき…………晃くんに……ドキドキして……何だか分からないの。」

泣きそうになりながら、そう話す。

「んー?男も女も、そりゃ相手が思いがけない行動すればドキドキするもんなんじゃない?別に市川さんが特別そうなるわけじゃないよ。」

そう優しく言ってくれる。

「市川さんは隙があるっぽくみられるのかもなー。」

そう付け加えた。

「隙?」

「そう。そんなに太もも出してたら、襲われても文句言えないぜ?」

「えっ?」

バッ!!!

スカートを戻した。

「(クスッ)」

泰宏くんがちょっとイジワルそうに笑った。

「顔、真っ赤。」

そう言われてますます赤くなった。

「泰宏くんのイジワル。」

「(クスッ)教室行こうか?」

「(コクン)」

涙はいつの間にか止まってた。

「ありがと。」

小声で背中に向かって言った。

無言でピースサインを出す、泰宏くん。

めちゃくちゃドキドキする!

二人で教室に戻った。

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