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ぜんぶ二人ではじめて

第4章 晃くんが分からない

教室に戻って、私は日直の指名を誰にするか考えていた。

彩月ちゃんは今日は用事があるって言ってたし、基本、女子は引き受けてくれそうにない。

あと……引き受けてくれそうな人……

泰宏くん!?

日直の仕事は、休み時間ごとにある。

この自習の残り時間で言わないと、次が困る……。

泰宏くんがいない。

あ!もしかして、フルートの自主練習してるのかな?

と、いうことは、個人レッスン室?私がいたレッスン室の隣にいたのかな?

防音だから音や声は聞こえないけど……

あ!やっぱり、いた!

コンコン!

ドアをノックする。

「はい?」

「泰宏くん……練習中ごめんね。」

「いいよ。そろそろあがるから。どうしたの?」

「今日の日直、晃くんの代わりに泰宏くん、やってもらえないかな?」

「ん?構わないけど……どうかしたの?」

真っ赤になってくのが分かる。

「どうもしないよ?!晃くん、用事があるからって……言ってて……」

「ふーん。ま、良いけど。」

「ありがとう!」

「さっき、晃くんに何か言われた?」

「えっ!?見てたの?」

やだ。泰宏くんには見られたくなかったのに。

「いや。晃くんと入れ替えで俺が入ったんだ。晃くん、吹奏楽やってないからさ。関係あるとしたら、市川さんかな?と、思っただけだよ。何かあったの?」

ホッとした。

泰宏くんに見られてなかった!

良かった……

「晃くん……も、輝くんも……私のこと好きなのかな?」

「……そうだとしたら?」

「分かんない。」

「嬉しいとか、付き合おうとか、そういうのはないの?」

「嬉しいけど……。でも、朝……も、さっきも、晃くんが怖くて……。近づかれるのが嫌だった。」

「そっか。……俺は?」

「え?」

泰宏くんが、近づいてきた!

ドキンドキン…………

何で嫌じゃないんだろう?

「昨日……最後に俺たち……」

そう言われて思い出す。

二人とも近寄って、腕を伸ばして、体が密着するところだった。

顔が熱くなる。



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