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ぜんぶ二人ではじめて

第34章 贈り物

みんなでおいしくお茶を飲んで話してると、

「七海ー、ゴメン!ミルク作ってぇ?」

母さんの声がした。

「はぁい。2人分?」

「うん!」

「ごめんね、みんな。ちょっとミルク作ってくるね。」

「いってらっしゃい。」

「テレビ観て良い?」

「うん。どうぞ。」

リビングを背にして、キッチンに向かった。

ミルクを2人分作って、母さんの部屋に行く。

「はい、ミルク。陸翔、預かるよ。」

「ありがとう。寿彦さん、会議に出かけたよ。」

「はーい。みんないるから、向こうでミルクあげても良い?」

「良いわよ。」

オムツだけ先に替えて、ホニャホニャ鳴いてる陸翔を抱っこして、あやしながらリビングへ。

「ちょっとだけ、テレビの音量下げてくれる?」

そう言って1人用のソファーに座ると、構わず消してくれた、晃くん。

「ありがとう、晃くん。」

「いや。市川の弟?」

「そう。陸翔です。よろしくね。」

「久しぶりに赤ちゃん見るけど、可愛いな。」

「うん。小さい!」

みんなの瞳が優しくなる。

陸翔が持ってたガーゼハンカチを放して、竜一くんが拾った。

「落としたぞ。お気に入り。」

そう言って、陸翔にハンカチを渡した時、陸翔が竜一くんの指を握った。

「陸翔、おまえ、可愛いなぁ。俺の指が気に入ったのか?」

陸翔が放すまで握らせてくれてた、竜一くん。

「竜一くん、抱っこしてみる?」

なんでそんなことを言ったのか分からないけど…

「良いの?」

「うん!」

ミルクを飲み干したあと、眠った陸翔。

竜一くんが広げた腕の中にそーっと陸翔を置いた。

また、陸翔が竜一くんの指を握った。

かすかに美空の声が聞こえる。

「七海ー…」

母さんがリビングにきた。

「ん?美空、泣き止まない?」

「そうなの。ちょっと代わって?」

「うん。みんなゴメンね。」

私は美空がいる、母さんたちの寝室に行った。

「あら。陸翔は眠ったのね。」

「あ、すみません。抱っこさせてもらってます。」

「いいのよ。よく寝てるわ。最近、美空がなかなか寝ないの。ごめんね、せっかくみんな来てくれたのに。」

「いいえ。こちらこそ、突然ですみません。」

「いいのよ。いつでも来てね。どうしても七海1人にさせることが多いから。心配なの。」

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