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ぜんぶ二人ではじめて

第35章 お誘い

side 七海

「彩月ちゃん……」

出血の量が多い!

頭から?傷、そんなに深くないよね?

どこ?どこ??早く止血しないと!

「キレイなタオル、ありったけ持ってきて!」

ガタガタ震えてるのが分かる。

私も意識がとびそう……

「彩月ちゃん!!!聞こえる?」

息はしてる。

けど、弱い気がする。

腕と足の骨折。

「出血してるとこどこ?」

私は彩月ちゃんの体を触る。

肩のあたりを触ったとき、ヌルッと嫌な感触が!!!

「タオル持ってきた!」

「田中先生も呼んできた!」

「みんな、ちょっと胸開けるから、見ないで!」

私は皆にそう伝えた。

「切った方が早いよ。」

そう言って田中先生が制服を引き裂いた。

「ここ!」

鎖骨の下に5センチくらいの深い傷が!!!

思いっきり圧迫止血する。

「彩月ちゃん!しっかりして!」

「彩月!」

「金田!」

みんなが彩月ちゃんを呼ぶ。

タオルは何枚使ったか分からないけど、すぐに染みてしまう。

どうしよう!

「七海!」

その時、

「父さんッ!」

「どうした?出血か。」

「うん!鎖骨の下に5センチくらいの深い傷があるの。息はしてるけど、浅いよぉ。」

「分かった。救急車呼んである?」

「はい。もうじき来るかと思います。」

「頭もうってるのか。」

「近くに……木製のバットがあったので……多分、それで……」

父さんが頭を触る。

「頭は大丈夫そうだ。バットで殴られたとしたら、もっと打撲になるはずだ。骨折もなさそうだ。」

ホッ……

「問題はこの傷だ。」

父さんが処置を始めた。

「私、養護教諭の田中です。手伝います!」

二人の連携……凄い!

私たちは少しだけ、安堵した。



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