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ぜんぶ二人ではじめて

第35章 お誘い

ピーポーピーポー……

あ!

「来た!救急車!私、誘導してくる!」

「俺も行く!」

そう言って私とヤスくんが救急車の誘導をし、救急隊によって、総合病院に運ばれることになった。

田中先生が救急車に乗って、私たちも病院に向かった。

すぐに手術が始まった。

総合病院は父さんのバイト先。父さん自ら執刀する。

点灯してる、「手術中」のランプを見つめながら、時間が過ぎるのを待っていた。

ツカツカツカ……

「昌樹!!!!!ヤス!!!!!」

「あ。」

「彩月の母です。」

「父です。」

「娘の容態はどうなんですか?」

「そもそも何があったんですか?」

田中先生がポツリポツリと話す。

「この子たち……ショックだったと思います。」

話の結びにそう先生が言った。

昌樹くん、大丈夫かな。

「昌樹!!!!!」

心配そうな女性の声がした。

「昌樹の母です!」

また、同じ話を田中先生がする。

そしたら、

「昌樹!!!!!」

今度は怒りを露にして、

パシーンッ!

昌樹くんのお母さんが、昌樹くんを平手打ちした。

そして、

「ごめんなさい!本当に申し訳ありません!」

そう言って、昌樹くんのお母さんが彩月ちゃんのお父さんとお母さんに土下座した。

「昌樹は何も悪くないよ。顔をあげてよ。彩月ならきっと大丈夫だから。」

そうは言っても彩月ちゃんのお母さんの足元はフラフラだ。

今にも倒れそうな顔をしてる。

私は、運べる椅子を持って、彩月ちゃんのお母さんに差し出した。

「七海ちゃん?」

「はい。はじめまして。」

「あの子と仲良く……してくれて……ありがとう。」

涙、いっぱい溜めて、私にそういった。

「私の方こそ、ありがとうございます。」

「ナナちゃん……ナナちゃんもフラフラしてる。座ってな。顔色悪いよ。」

「ヤスくん……ありがと。」

確かに私も足元がフラフラする。

「おじさん、おばさん、本当にごめんなさい。俺たちがもう少し早く彩月を見つけていたら、誰にやられたか分かったのに。」

ヤスくんが謝った。

「ヤス……」

「おじさん、おばさん……。すみませんでした。」

昌樹くんが泣きながら謝った。

「彩月は何かしたのかね?そんなことされるようなこと……」

おばさんが独り言みたいに言った。

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