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ぜんぶ二人ではじめて

第36章 解決

「もちろん、部活の時はお互いムリだけど、遠征中とか、会えない距離にいるときとか、野球部の終わりが遅くて待たせるときとか……そういうとき。お願いできないかな??」

「ヤスくん、私、そんなに子どもじゃないよ?」

「分かってるけど。彩月があんな目に遭ったから……心配なんだよ。」

「……そっか。」

「もちろん、OKだよ!お安いご用!」

晃くんが笑顔で引き受けてくれた。

俺の不安材料はなくなった。

そのあと、晃くんも一緒に彩月の病院に行った。

ノックしたが、返事がない。

スライドのドアは開けっ放しだ。

カーテンが閉まってる。

「寝てるのかな?」

ナナちゃんが小声で話す。

「あっ!もっと強くて良いよ!そこっ!」

彩月の声……

「そんなに強くできるかよ。もう良い?」

昌樹の声……

「まだダメッ!あぁ!いい!」

あいつら何してんだよ……

ナナちゃんが硬直してる。

「金田さーん?入るよー?」

看護師さんが来た。

俺たちは反射的に目を反らした。

「あ!みんな!来てくれたの?ありがとう!」

と、彩月。

「ん?」

「ゴメンね。もう、これ、痒くて痒くて……昌樹がかいてくれてたんだ。」

と、明るく返した。

昌樹がギプフの周りをかいてた。

「彩月、まだー?」

「もういいよ。サンキュ!」

「金田さん、これ、孫の手あったよ。使う?」

看護師さんが彩月に訪ねる。

「ありがとうございます。借りてて大丈夫ですか?」

「うん!みなさん、ごゆっくりー!」

元気な看護師さんだな。

「あぁ……びっくりした。」

ナナちゃんがもらす。

「何が?」

彩月が聞き返す。

「えっ……と……何でもなーい!」

真っ赤になりながら顔の前で両手を交差させる。

晃くんがそのしぐさを見つめる。

熱い眼差しだなー……

なんて思う。

「ナナちゃん、彩月と昌樹がエロいことしてると思ったんだって。」

俺が代弁する。

「ヤスくんッ!」

ナナちゃんがさらに真っ赤になって怒る!

可愛い!!!

「ゴメンゴメン!てか、俺も勘違いしたし。カーテン閉めとくなよな。」

と、フォローする。

「禁欲中ですからー。」

と、彩月。

「あーあ。せめて腕だけならなー。脚だとマジで安静度高い……。なーんも出来ない……。」

そう言ってシュンとする昌樹。

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