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ぜんぶ二人ではじめて

第36章 解決

side 泰宏

昌樹が本気でガッカリしてる。

そりゃそうだよなー。

「昌樹くん!彩月ちゃん!私とヤスくんも禁欲することにしたから!」

「え?」

「ナナちゃん!今言わなくても良いだろ!?」

俺はナナちゃんの口を抑えた。

「なんでー?」

晃くんが聞いてるのに。

「あ!俺のこと心配してる?」

と、晃くん。

「うん!」

間髪入れずに答える。

「なんで?」

ポヤーッとしてるからなー、ナナちゃん。

「……ナナちゃん、後で説明するから。」

「はーい。」

「大丈夫だよ、ヤスくん。市川、俺のこと怖いって思ってるから。」

と、晃くん。

「なおさら聞かせたくなかった……」

と、俺。

そんなこと聞いちゃって、ファンクラブの奴らが猛烈アタックしてきたらどうすんだよ。

「まぁまぁ。」

場をなだめようとする昌樹。

「アハハハ。心配性だなー、ヤスくん。禁欲、頑張れよー!」

と、あっけらかんとしてる彩月。

「お前な。」

「でも、ヤスくん、もうすぐ誕生日じゃん!良いの?禁欲なんかしてて。」

「よくねーよ!その日だけ、解禁させてくれよ。」

「いいよ。」

「サンキュー!」

そんなやり取りを見て、彩月とナナちゃんが笑ってる。

こういう光景が良い。

「市川、ほんと、キレイになったよなー。」

そう呟いた晃くん。

「ナナちゃんのこと狙うなよな。」

俺が伝えると、

「聞こえてた?」

「あぁ。ばっちり!」

「俺がいくら想ったって、市川の気持ちがなびかなきゃ意味がないよ。」

晃くんがそう答える。

「確かにな。」

俺は納得してはいるが、でも無理矢理ってこともなくはないと思った。

「晃くん。さっきの話だけど、万が一にでもファンクラブのメンバーがナナちゃんに手出ししたら、ファンクラブ解散してね。」

俺はそう言った。

「了解!」

晃くんが約束してくれた。

とりあえず、その言葉を信じるしかないな。

「万が一、ヤスくんが浮気した場合は、無効ね?」

なんて、言ってきた。

「良いよ。そんなこと有り得ないけど。」

俺は誓ってナナちゃん一筋だ!

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