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ぜんぶ二人ではじめて

第36章 解決

side 七海

禁欲生活が始まった。

今日、ヤスくんが入部する。

吹奏楽の部活が終わって、野球部の終わりを待つ。

輝くんと彰一くんが教室で一緒に待っててくれる。

今日はサッカー部はないのに、わざわざ護衛のために来てくれた。

「二人とも、ヤスくんが変なお願いしたから、部活ないのに、ゴメンね。」

私が謝ると、

「俺たちとしては、市川に会える口実ができたんだから、ラッキーなんだよ。気にしないで。」

彰一くんがそう言う。

「そうそう!なんなら俺らが送ろうか?」

なんて、輝くん。

「ううん。ヤスくんに送ってもらいたいからここで待ちたい。」

そう私が答えると、

「ちぇっ……」

と輝くん。

「市川、輝、俺、トイレ行ってくる。」

「はいよー。」

「え……あ……うん……」

輝くんと二人きり……怖いな。

「市川、俺のこと、やっぱ怖い?」

輝くんが聞く。

「あ……うん……」

だって……忘れることは出来ないよ。

二人きりになることなんてあれ以来なかったから大丈夫だったけど。

「ごめんな。あの時は、俺、どうかしてたよ。市川が怖いって思う範囲には近づかないから。安心して?」

「うん。ありがと、輝くん。」

私は輝くんに笑顔を向けることができるのかな。

うつむいてないと話せないよ。

「ナーナちゃーん!」

突然、窓の外からヤスくんの声。

「ヤスくんッ!」

ガラッ!窓を開けて、ベランダに出る。

「終わった?」

下にいるヤスくんに向かって話す。

「今終わったよ。教室に行くね!」

「うんッ!」

「彰一くんと輝くんもいる?」

「いるよ。」

「良かった!待ってて!」

「はーい!」

教室に戻った。

「ヤスくん、終わった?」

トイレから戻ってた彰一くんが、聞いてきた。

「うん。教室来るって!」

私が報告すると、

「ほんと、愛されてるね、ヤスくん。」

そう言って彰一くんが微笑んだ。

「えっ?なんか……人に言われるとすごく恥ずかしいッ!」

「ヤスくんの話するときの市川、すっげぇ可愛いよ。」

彰一くんが言う。

「あー、分かる分かる!全然、俺らと話す時の笑顔じゃないもんな。」

輝くんも言う。

「そこの違いは愛しかないよなー。」

なんて言う。

「もう!からかわないでよ。」

そう言った。

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