テキストサイズ

ぜんぶ二人ではじめて

第36章 解決

「そういうリアクションがまた良いんだよねー。やめられないよな。」

「うんうん!」

輝くんと彰一くんが楽しそうに話す。

「もぉ……」

顔、赤いだろうな、今。

そこへ、

「お待たせ!ナナちゃん!」

「ヤスくんっ!!!」

びゅーん!

走り寄る。

「二人ともありがとう!明日もよろしくお願いします!」

「いいえー。」

「また明日な、市川。」

二人とサヨナラする。

「ナナちゃん?何で顔赤いんだ?」

「さすがヤスくん。見逃さないねー。」

なんて彰一くん。

「ゴメンね。ちょっと、愛されてる誰かさんに嫉妬して、からかいました。」

と、告白する、彰一くん。

「まー、良いけど。じゃ、明日。」

「はいはーい。またねー。」

二人が手を振る。

「二人ともありがとね。バイバイ。」

私もお礼を言う。

ヤスくんと帰る。

「野球、お疲れ様。」

「おぅ。」

あれ?なんか……

「大変だった?」

「別に。」

怒ってる?

「足は、大丈夫?」

「あぁ。」

「怒ってる?」

「え?」

「ヤスくん……怒ってる。」

「怒ってるっつーか……俺が見てない可愛いナナちゃん見られたことに嫉妬してんの。」

自転車を押しながら肩を並べて帰る。

「恥ずかしいこと言われただけだよ。」

ヤスくんを安心させたい。

「どんな?」

「ヤスくんの話をするときの笑顔が、他の人に見せるときの笑顔と全然違うって。その違いは…………愛しかないって……言われたの。」

『愛』って!

なんだか恥ずかしいんだもん!

「そっか。ナナちゃんも俺のこと、愛してるもんなー。」

爽やかな笑顔でヤスくんが言う。

「もぉ!だから恥ずかしいってば!」

また、顔が赤くなる……。

ヤスくんが私の顔を覗き込む。

「あーあ……俺、禁欲生活、耐えられっかなー。すげぇ不安……。」

少し道から反れると、小さな緑地公園がある。

午前中は、お年寄りが。午後はママたちが子連れで利用してるけど、この時間帯、ほとんど人はいない。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ