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ぜんぶ二人ではじめて

第37章 初試合

俺が控え室に戻ると、

森田キャプテンが、

「お前、市川七海と付き合ってんの?」

と、目を丸くして聞いてきた。

「あ、はい。そうです。」

俺は少し照れながら答えた。

「マジで!?」

「いつから?」

そこで聞いていたメンバーは大騒ぎ。

「去年の秋頃からです。」

素直に答える。

帰りの準備を整え、バスに移動する。

「ヤス、七海ちゃんとどこまでいってんの?」

監督が、いないところで、質問攻撃は続く。

キャプテン自ら質問してくるから困った。

「いや……そこはちょっと……」

そう答えると、

「じゃあ、七海ちゃんはヤスのどこが好きなの?」

と、質問を変えてきた。

俺は、ファンクラブの皆に言った言葉を思い出した。

「全部らしいですよ。」

シレッと答えた。

「なーにー?」

「図々しいこと言ってんなよー。」

などなど、言われたが、

「マジですよ。キャプテン。確かに市川は、ヤスくんの全部が好きっていってました。」

晃くんが、助けてくれた。

「この幸せ者め!」

「羨ましすぎるぞ!」

そんなことを言われ、俺は心がホカホカした。

学園に戻り、練習の準備。

練習の前に30分、休憩となった。

部室を出るとすぐに、ナナちゃんが昌樹といた。

が!

ナナちゃんの顔色が悪い。

「ヤスくん!七海ちゃんが……」

昌樹が言う。

「あぁ。どうした?やっぱ、寝不足だからかな?」

今にも倒れそうだ。

「でも……彩月ちゃんとこ行きたいし……ヤスくんとお弁当食べたいし……」

「しょうがねーなー……じゃあ、保健室行く?」

俺としては家に帰って寝てほしいんだが。

多分、ご両親に心配かけたくない気持ちもあるだろう。

「うん……、寝かせてもらおうかな。」

「そうしな。おんぶするよ?」

俺がそう言うと、ナナちゃんは、ユニホームの裾をちょこっと持って、

「抱っこが良い。」

ポソッと呟いた。

可愛い!!!

「しょうがねーなー。」

口ではそう言ってるが、内心バクバクしてた。

なぜなら先輩たちも同級生もみんな、見てたから。

「俺、七海ちゃんの荷物持ってくる!部長にも伝えてくるよ。」

昌樹がそう言っていなくなった。

お姫様抱っこで保健室まで行くのにみんなに注目浴びた。

キスしたい!

可愛すぎだよ、ナナちゃん……

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