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ぜんぶ二人ではじめて

第38章 ギリギリ……

side 七海

ヤスくんがキスをくれた。

田中先生があとからすぐに来た。

眠い……

甘いキスが嬉しくて、お姫様抱っこも嬉しくて、まるで春の日射しに包まれてるような……そんな雰囲気。

うとうと……

眠気が来た。

夢の中でさっき見送ったヤスくんと晃くんと竜一くんの背中が出てきた。

ヤスくんと晃くんはユニホームなのに、竜一くんだけ、私服?真っ白い服で…なんだろ?道着?柔道とか?空手とか?そんな感じ…の。

懐かしい…

手を伸ばす。けど…届かなくて…名前を叫んだ!

びくっ!

自分の夢にビクってなって夢から醒めていく…。

保健室だし、田中先生いるし、カーテンしてるし、私は安心しきってた。

どれくらい寝たのだろう?

ふと目が覚めた。

気がつくと、もう一時間半も寝てた。

さっきの…は、夢…か。

そう思った時、

ガラッ……

扉が開いた。

話し声がしない。

田中先生いないのかな?

ヤスくんかな?

私は寝たフリをした。

カーテンが開いた。

「可愛い……」

小声でそう言って、前髪をあげておでこを出された。

そして頬っぺたをぷにぷにって触られた。

え?

ヤスくん、こんなことしないよね?!

ハッとして目を開ける。

相手と目が合った。

「え?やだ……」

バッ!

布団を頭までかぶった。

誰?

「驚かせてゴメンね。七海ちゃん。」

どこかで見たことあるけど……

「あなた、誰?」

布団の中で聞く。

ギシッ……

え?

ベッドに乗ってる!!!

「やだやだ!おりて!」

もう、完全に乗っかられてるから暴れてるのに微動だにしない。

ガラッ!

扉が開いた!

「ナナちゃん、入るよ?」

ヤスくん!

「助けて、ヤスくん!」

布団の中だけど、大声で言った。

「何?」

慌てた様子で入ってきた。

そして、

「和樹!てめぇ!!!」

かずき?

誰?

でも見たことある。

「ヤス兄、俺に七海ちゃん、ちょうだい?」

「やるわけねーだろ!どけよ!」

「ちぇっ……残念。」

そう言って、和樹くんは退いてくれた。

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